ネイティブアメリカンの中高生のための合同企業説明会
2019.03.27 - 2019.03.28
Monument valley高校とWhite horse高校で、年に一度の合同企業説明会に参加しました。
https://doubledotdesign.gyazo.com/e65bcd07a3e4df87cf3b0dae528c26e4
この合同企業説明会では、以下のような企業や団体が仕事を紹介していました。
警察や軍隊:FBI、郡保安官、海軍、州兵、救急隊員など
州や国の団体:土地信託組織、森林警備員(Manti-La Sal National Forest )
教育機関:Utah valley大学、Utah大学、Utah State大学、子供にビデオ制作授業やVR体験授業を提供する団体など
企業:サイエンス企業、鉄道会社、風力発電企業、建設会社、溶接会社、建築資材販売会社、発掘会社など
午前中に会場の高校生に1時間30分、午後に近くの中学からバスで移動してきた学生に1時間30分、説明します。
学生は、企業説明会に参加している団体の中から、少なくとも20以上の団体の説明を聞くと、くじ引きに参加することができ、当選すると、$25の商品券やTシャツをもらうことができる仕掛けになっており、興味のない学生も、とりあえず、いろんな団体に話を聞きに行きます。
https://doubledotdesign.gyazo.com/33c3bf1f5c2793760a4f11deb8e9129f
上の写真:参加した企業や団体のブースと、くじ引きの結果発表を聞きに集まる学生たち
私たちは、ユタ大学の建築学部のDesignBuildBLUFFとして説明会に参加しました。
ネイティブアメリカンのナバホの教育環境は、非常に悪く、
ナバホの大学卒業率は7%となっています。
ちなみに、日本の大学卒業率は51%、アメリカの大学卒業率は46%となっているので、
ナバホの教育環境は、あまりよくない事がわかります。
さて、学生が会場に到着して、説明会が始まると、学生は、くじ引きが引けるように、1時間30分の中で、20以上の団体から話を聞こうとします。ブースの移動も考えると、一つの団体に約4分ほどの時間しかありません。
短く、わかりやすく、興味を持ってもらえるように、
建築家とは何か
DesignBuildBLUFFとは何か
を説明しなければなりません。
今回は、以下のポイントに絞ることにしました。
家をデザインしたい人は建築家になる
まず大学を卒業する
卒業した後に、働きながら、建築家の資格を取得する
家をデザインするとはどういうことか
家をデザインして欲しい人にインタビューする
デザインをコンピュータモデリングで行う
建築法規を確認してデザインを行う
デザインしたものをプレゼンテーションする
私たちDesignBuildBLUFFでは、学生がデザインして、学生が建設する
建物が完成すると、大学を卒業するための単位が取得できる
環境問題を考えて、地元の土を左官作業するようにしていて、そのために、鏝を使えるようにする
私たちDesignBuildBLUFFでは、完成した家を、この地域の困っている人に無償で提供する
コンピュータのモデリングの説明では、スケッチアップというソフトウェアを使用して、簡単に家の模型を作れることを実演。
家の窓の位置を変えたり、壁を作ったりを、実演して見せます。
https://doubledotdesign.gyazo.com/e1f3cdc74b12d8db42108bf10fe82a50
建築法規では、IBCやIRCの建築法規の本を見せて、いろんなルールがあることを説明しました。
https://doubledotdesign.gyazo.com/49d59694562192876f8150d51b66485d
土の左官作業では、学生に実際、土のサンプルを日本の鏝で、仕上げる体験をしてもらいました。
https://doubledotdesign.gyazo.com/23175d21482ca9adc9ebe5a23024d7ee
この枠の中に、ケーキのクリームのように柔らかい土を塗っておき、日本の鏝で綺麗に仕上げる練習をしてもらいました。
みんな塗りだすと、集中して作業していました。
改善点
ネイティブアメリカンの中高生にとって、大学で勉強したり、大学で教えることは、かなりハードルが高いことです。彼らに、大学に行くという選択肢もあるということを説明すると同時に、人のために楽しいことをしたいと思ってもらえるような説明になれば僕たちが企業説明会に参加する意義があると思います。
「こんな仕事があるのか。知らなかったけど、何か面白そうだね」と思ってもらえるような仕掛けが少なかったと感じました。
建築家になると
デザインを通してライフスタイルを提案し、使う人々を幸せにする仕事だから楽しい
地域に密着したプロジェクトでは、周りにいる人たちをどんどん巻き込んで、一人でも多くの人を幸せにする仕事だから楽しい
という事を、どのように感じてもらうかがキーポイントになることがわかりました。
クライアントとのインタビューの説明
人と話すことや、人や社会がどんな問題を抱えていて、どのように解決して行くかを話しながら決めて行くことの楽しさを感じてもらう仕掛けを作れればいいと思いました。具体的には、建築写真を2種類用意して、好きな方にシールを貼ってもらうことで、自分の意見を発表する楽しさや、他の人たちがどう思っているのか、わかる楽しさを感じてもらえると思います。
コンピュータの3Dモデルの説明
一つのプロジェクトに着目し、コンピュータのモデルには、実際に建設した棚やテーブルが設置されたデータを使用し、コンピュータの画面上でのデザインを見せた後、さらに、建築模型も見せた後に、実際はどのような空間になるのか想像してもらったあとで、実際の完成した写真を見せて、コンピュータモデルや建築模型と実際の空間にどの程度の差があるのかを実感してらえればいいと思いました。
建築法規の説明
難しくて分厚い本を置いておくだけではなく、中高生の生活にも関係があるような内容が書かれているページに付箋を貼って参照しやすくして置いて、
住居の天井の最低の高さ
寝室の最小の大きさ
ドアの最初の幅
などを何秒で探すことができるか、チャレンジクイズを準備すればよかったと思いました。
土壁サンプルの説明
完成した空間に使用した左官仕上げのサンプルも用意し、サンプルから実際の空間を想像する楽しさも教えることができればいいと思いました。