教義
オリジナル
code:md
---
layout: default
title: この世の終わりの大図書館教 Doomsday Library Church
date: 2024-05-02
image: ./logo.png
categories: main
---
184階 この世の終わりの大図書館教 Doomsday Library Church
"Whether it's saved game data, a photo sunk in a tsunami, a novel whose title you can't remember, or a MAD video that has been deleted, if you thinks about the information that has been lost, at that moment the Great Doomsday Library will increase its collection one by one, and eventually everyone will be able to reach the Great Library and meet information again." *
--@Mikanixonable 2022-10-01のツイート[1 ]より この世の終わりの大図書館教について
この世の終わりの大図書館教(Doomsday Library Church)または大図書館教、図書館教とはみかぶるが2022-10-01に創始した宗教です。特に法人格はなく、権利能力なき社団です。主な教義は以下の通りです。 この世のどこかに大図書館があり、みんなが失われた情報について思いを馳せるとその瞬間にその大図書館に蔵書が一冊ずつ増えていく。
この世の終わりにはその大図書館が出現する。その図書館にはあらゆる情報が収められていて、なくしていたはずのどんな情報とも再会できる
現世に生きるわたしたちは、今まだ残っている情報を収集して整理し、後世に残すよう努力すべきである
このほかに、いくつかの教義や指針があります。
図書館教の教徒は全ての教義を支持・実行する必要はなく、その中から好きなものを選んで自分の宗教とすることができます。図書館教の教徒は自信が教徒であると他の人に宣言する必要はありません。また、図書館教の存在を知らず、図書館教教徒の自覚がなくても教徒となることができます。
教義一覧
教義1 大図書館の存在と出現の保証
この世のどこか(この世の果て)には大図書館があり、みんなが失われた情報について思いを馳せるとその瞬間にその大図書館に蔵書が一冊ずつ増えていく
大図書館に収められる情報は媒体を問わない。ゲームのセーブデータでも、津波に沈んだ写真でも、題名の思い出せない小説でも、消されたMAD動画でも何でもよい。情報の存在自体を忘れていてもよい
この世の終わりに大図書館が出現する。その図書館にはあらゆる情報が収められていて、なくしていたはずのどんな情報とも再会できる
この教義1は他の教義と異なり図書館教の出発点となる原則的なものです。他の教義は現世での行動指針や価値感の表明が多いですが、この教義は祈りに属します。
教義1のほかにいくつかの教義や指針があります。
教義2 情報の収集・保存・流通への努力
現世に生きるわたしたちは、今まだ残っている情報を収集して整理し、後世に残すよう努力すべきである
教義2の具体的な行動指針や主張として以下のものがあります
プラットフォームを跨いだ情報の移動の権利
SNSなど、圧倒的なユーザー数による準公共性の権威によって利益を得る巨大プラットフォーマーは、サービスのツールとしての使いやすさ以上に競合他社と比べて競争上有利かつ唯一の位置を占めるから、過去の投稿やフォロー関係の移転などのプラットフォームをまたいで情報を移す権利をユーザーに与えるなどして、情報の基盤としての公共性の維持・継承コストも負担すべき
--@Mikanixonable 2022-12-09のツイート[1 ]より 情報の完全・網羅的な記録の関心
大昔の些細な記録が残っていることは喜ばしいことだ
情報を網羅的に記録したい、残ってほしい
--@Mikanixonable 2023-03-15のツイート[1 ]より 情報の価値は同時代に判断できないから、情報の収集や保存にあたってはえり好みをせずありのままを残すべき。AIによるカラー化、情報処理による高画質化などは元の映像が失われないように配慮して行うべき
情報の整理・組織化・流通のための指針
伝聞を繰り返すと情報は数十年で簡単に劣化してどこまでが確実なのかわからなくなります。出典を書くことは情報の劣化を防ぎ、やがて訪れる大図書館の出現を早めます。
情報の記述には、その時やその場所の文脈がないと分からないような表現を使うべきでない
日常のメッセージでも「今週の土曜」「最近は」「ここでは」のように、文脈に対する相対的な書き方をすると、後からメッセージだけが見つかっても文脈が分からず不便します。なので、日常の些細な場面でもなるべく単体で意味が通るような、文脈になるべく依存しない絶対的な書き方を心掛けます。日時は年まで書きます。年月日はなるべく年ではなく月日まで書きます。人の名前は苗字やあだなではなくフルネームで書きます。
世の中の基本的な情報が、人間の持っている情報インフラの割にまだ全然アクセス可能な位置に整理されてないことに日々苦しめられていて、ネット空間での情報の集積と整理(wiki事業)は人類の課題だ
--@Mikanixonable 2023-08-15のツイート[1 ]より Wikipediaは現代のインターネットの良心である
情報の利用可能性は開かれているべきだ
全ての著作は、本来人類の財産である
全ての創作は、本来他者の著作を参照するかに関わらず自由な営みである
著作は、なるべく緩いライセンスのもとに置くべきである コピーレフトライセンスは、情報の流通性を下げ、創作を不便にする インターネット上の体系的に収集されていない大量の素晴らしいイラストや音楽は著作権の保護期間を生き残れず、またそれらが失われた後で著作権の保護が緩くなっても遅いので、いつか著作権制度がなくなった未来の世界に向けてそれらを組織的に収集して保管したい
--@Mikanixonable 2023-08-10のツイート[1 ]より 未来には無限の情報の観客がいる
世界人口の増加ペースは鈍化しているが、時間は無限に続き人類が滅亡しない限り累積人口は増え続けるので、SNSで同時代の人にちやほやされるより、自分の作品を死後数百年保たせる努力をした方がよほど多くの人の目に触れる
--@Mikanixonable 2023-06-01のツイート[1 ]より 大図書館教での大図書館の種類
この世の終わりに出現する大図書館
この世の終わりに出現する大図書館は、この世の終わりの、遠い未来ですが有限の時間のうちに出現し、だれもがやがて訪れられることが保証されている図書館です。この図書館には、すべての情報が整理された状態で収められ、欲しい情報にすぐにアクセスできます。すべての情報を納めると、あらゆる記号の列を含むことになり、バベルの図書館と等価で、情報を製作するコストと情報にたどり着くコストが等しくなりますが、大図書館の設備は訪れる全ての人の要望に従った距離で情報を整理して配列しているので、失われたはずの欲しい情報にアクセスできます。
現世の、この世のどこかにある大図書館
この世のどこかにある大図書館は、やがて出現する大図書館の前身となる図書館です。すべての情報は収められていませんが、失われたはずの情報でも、だれかがその情報の存在を思い浮かべることでこの図書館に出現します。蔵書はあらゆる媒体をとることができ、本、ゲームのセーブデータ、歴史上失われた本や映画、音楽、記憶、感情など感じ取れるあらゆる情報が収められます。情報は現世のどこかには存在しますが、たどりつくことはできません。
現世の、大図書館教徒が築く大図書館
大図書館教徒が築く大図書館は、大図書館教徒が築く大図書館大図書館教徒が日々の行いで現在残っている情報を収集し、整理し、流通させることで作っていく人類全体のための図書館です。この図書館は特定の場所にある図書館ではなく、人類の創作活動全体を一つの巨大な図書館をつくる過程として抽象的にとらえたものです。大図書館教徒以外もこの図書館の建設に携わっていますが、大図書館教徒は、この人類の偉大な事業としての大図書館の建設を自覚的に努力して行っている点が教徒以外の人と異なります。大図書館教徒は、この世のどこかにある大図書館を思い浮かべながら、他人の著作物については収集、複写、翻案や翻訳、紹介、保存することで完全に失われることを防ぎ、自身の著作については、なるべく公に利用しやすい状態(フリーライセンス等)で公開し、後世に残すよう努力することが求められます。
図書館教的なもの
私が大図書館教的な価値観を感じたもののリストです
イリヤ・カバコフ 「誰もが未来に連れて行ってもらえるわけではない, Not Everyone Will be Taken Into the Future(2001, テート美術館蔵)」[1 ] [2 ] 誰かによって思い出され続けないとやがては消えてしまうという恐怖感をよく表しているタイトルだと感じました
兼好法師「ひとり、燈のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる。文は、文選のあはれなる巻々、白氏文集、老子のことば、南華の篇。この国の博士どもの書ける物も、いにしへのは、あはれなること多かり」(徒然草第13段)[1 ] コピミズム
2010年にスウェーデンの学生イーサク・イェショーンによって創始された宗教で
全ての知識は全ての人のためにある。
知識の検索することは神聖である。
知識を循環させることは神聖である。
複製する行いは神聖である。
ユダヤ教
元来知恵や書物を重んじる価値観があり、ヘブライ文字の書かれたものは聖なるもので捨てられないため、教会の屋根裏に保存され、多くの古い時代の書物が残った
フリーソフトウェア運動
テッド・チャン「息吹」
文明が存在した痕跡を残すため石板に記録を刻み付けるシーンがある
リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」
遺伝子(gene)と対になる、人類などがもつ遺伝子以外の複製子として、「ミーム(meme)」という概念を提唱した。 確認できる大図書教の信徒(2024-05-02)
このページの文章はcc0ライセンスです --Mikanixonable 2024-05-02 外部リンク