20層ボスドロ弓-2
「ーー〔エンチャント〕」
私のセカンドジョブは付与術師
手持ちにあるスキルの効果を物や人に付与することができる、支援職だ。
その性質上、個人のスキル構成によっては戦闘職寄りの運用になることも珍しくはない。
私の場合は普通に支援職として動くことの方が多いけど。獣士二人が心置きなく戦えるよう、自分の身を守るくらいのことは問題なくできる。
「風よーー」
巫女仕事で使うような弓とは長さも素材も違う短弓のつるに指をかけると、そこに魔法の矢が現れて。引き絞り、狙いを定めた私がつるを放した途端、文字通り矢のような勢いで飛んでいく。
これが神事なら的に当たった音がパーンッと弾けるところだけど。実際に弾けたのはモンスターの頭だった。
「良さそうだな」
「そうね、悪くはないんじゃない?」」
すぐ隣で様子をうかがっていた狼に、私は真新しい魔法弓のツルをはじきながら答えた。
「こういう武器は魔力食いだから、しばらく使ってみないと本当のところはわからないけど……矢弾がいらないのは便利だし、付与も乗りやすかった気がする」
「魔力の消耗は?」
「普通の矢に付与したときの倍くらい? でも今までだって魔力切れを起こすほど消耗したことはないから、全然問題ないレベルだと思う」
「そうか」