03❌SCENE-001<>メンタル弱め
「う、後ろも使う……?」
アリかナシかで言えば、ナシ寄りのアリ。
だけど男が二人で女が一人しかいないなら、普通はそういうことになるのではないだろうかと。狼か仁、どちらかを受け入れている間はもう一人を待たせることになるのが、なんだか落ち着かない私が提案すると。狼と仁の反応は、なんとも微妙なものだった。
|諸手《もろて》を上げて喜んでほしかったとまでは言わないけど。こちらが譲歩したつもりでいるのに困ったような顔をされると、押し付けがましい考え方だとわかっていても、なんだか釈然としない。
「あのね、姫。姫が俺たちのことを平等に好きすぎてちょっと拗らせてるのはわかってるけど、俺たちだって突っ込む穴ならなんでもいいってわけじゃないからね?」
「じゃあ指もいれないでよ」
「それはごめん」
真顔で謝ってきた仁が、体勢低くそろそろとにじり寄ってきて。私のお腹にキスをする。
尊いものに、そっと触れるようなくちづけだった。
「ジンはわりと触ってくるから後ろでしたいのかと思った」
「言い訳みたいに聞こえるかもしれないけど、本当にそんなつもりはなかったんだよ」
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「姫が乗り気なら、一回くらい試してみる? 色々と準備がいるから今すぐってわけにはいかないけど」
ころん、と転がされた布団の上から見上げた狼の表情は「本気か?」とでも言いた気に歪んでいて。
全く乗り気ではない二人の様子に、私はいっそ納得がいかなかった。
「ロウとジンはやりたくないの? 準備が面倒臭いから?」
彼氏からアナルセックスを求められて別れたという女の話はわりと聞くけど、女の方から言い出して男に渋られたなんて聞いたことがない。
とりあえずやってみようか、という流れになりはしたけど。これは二人とも、私が言うから付き合ってあげようかな、と。そういうやつだと、付き合いの長い私にはわかってしまう。
……拒否られた。
じわじわと状況を理解するにつれ、だんだん私の気分が沈みはじめると。仁は「あー……」と苦笑まじりに、私を慰めるようなキスをしてくる。
「気乗りしないのは、姫のことが大事だからだよ。アナルなんて、そもそも突っ込むための穴じゃないから姫のことを傷付けないか心配で楽しめないのがわかりきってるし。口でしてもらったときも思ったけど、俺たち、姫がかわいそうだと思ったらわりと萎えるんだよね」
「私が下手だからとかじゃなくて?」
「姫、俺たちが出したら頑張って飲もうとするから。姫にAVみたいなことさせてる罪悪感の方が勝る」
「ふぅん……?」
私も大概現金だとは思うけど。私が機嫌を悪くしたり、泣き出したりしたら途端に息を潜めて「面倒な女」の相手は仁へ丸投げしてしまうくせ、落ち着いたら何食わぬ顔で戻ってくる狼も相当なものだと思う。
ゆるゆると髪をすくよう頭を撫でてきた手の感触に、顔を上げると。布団についていた背中が仁
狼の膝の上へと引き上げられて。私と引き離された仁は、文句も言わずに下の方へと体をずらした。
さっきまで狼と繋がっていた場所をぬるりとなぞって。そこがまだ潤っていることを確かめるよう、指が中まで入ってくる。
「んっ……」
狼も仁もスキンをつけなかったことなんてないから、中には何も残っていないのに。何かを掻き出すような動きで二本、三本と増やされた指が私の中を捏ね回す。
「姫」
狼に呼ばれて顔を上げると、唇が重なった。
大きな手に耳を塞がれて。頭の中を犯されているみたいな音がする。
「んぁ……っ」
「ひーめ、いれるよ?」
予告から間髪入れずにぐちゅんっ、と突き上げられて。私がたまらず上げるはずだった悲鳴のような嬌声は、私の口を少しも離してくれなかった狼のせいで、くぐもった呻き声にしかならなかった。