交流標準信号発生器
2011~12年製作
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某界隈で本多本と呼んでいる本『作りながら学ぶエレクトロニクス測定器』(CQ出版社、ハードウェアデザインシリーズ)があって、その中に記載されている「第5章 交流標準信号発生器の設計と製作」のものを作ろうという企て。 回路動作としては、4.096MHz水晶発振子を発振させ、分周した1kHz方形波にフィルタを掛けて正弦波に、振幅方向に制御をかけて10dBVを作りこれを固定出力、他にフィードフォワードのアンプで-60/-50/-40/-30/-20/-10/0/10/20dBVをロータリスイッチ切り替え。
交流標準信号発生器の構成
信号発生部
分周1kHz生成部
LPF1
LPF2
LPF3
直線検波部、誤差検出部
出力レベル切替部
0dB/-30dB/-60dB のアッテネータ
バッファ
+10dB/0dB/-10dB のアンプ
構成は上記で、信号発生部から順に製作した。。
誤差検出部まで出来て、ぐるっと一周回して制御された振幅の1kHzを得た。その様子が以下。
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オリジナルからちょっと変えていて、1回路余っていたオペアンプでLPFを組んだ(LPF2)。回路定数もそのまま継ぎ足したので、オリジナル2段LPFに対して3段LPFはゲインが高くなってしまっている。誤差検出部(&積分器)から出力されるDCを生成した方形波が4053でチョップするのだけど、そのDCの値がオリジナル設計想定で約3Vのところが、本実装では2V程度になっていた。制御の範囲に入っていて良かった。
ちなみにLPF3を加えた効果の程は歪率を精密に測ってみないとわからない。
とあるレンジで発振がいる。
問題は出力レベル切替部。この部分は、
0dB/-30dB/-60dB のアッテネータ
バッファ
+10dB/0dB/-10dB のアンプ
の3段構成になっている。
アッテネータ後 -30dB/-60dB のところでスパイク状の発振が見えたが、電源を改修してこれは治まった。しかし今度は出力で観測すると7番目のレンジ 10mV出力で発振波が乗っていた。
よく見ると +10dBのアンプ(U8)で発振している様子。しかし他のこのアンプを使っているレンジ― -10dBVと20dBV ―の出力では見えてこない量だった。
しかしまー、10mV(-40dBV)はよく使うレンジだと思うので、U8に対策を入れてしまった。帰還に入っている47pFを470pFに変更。もののついでにU9(0dBアンプ)の帰還の47pFにはもう一個47pFをつけておいた。U10(-10dBアンプ)はそのまま。教科書的にはU9とかU10のほうが発振しそうな印象だったのだけれど…
発振周波数が正確に1kHzとは言いがたい。オシロやテスタの周波数計測機能では1000Hzに若干満たない感じ。うちのアナログオシロだと1kHzと999.999Hzを行ったり来たり。テスタだと1kHzと999.98Hzを行ったり来たり。そういうわけでいつか周波数カウンタを作らなくてはならない。12.8MHzのTCXOがあるのでその確度を神様にして!(ルビジウム発振器とは言わない)
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大きい全回路図
table:交流標準信号発生器の出力レンジ
番号 レンジ表示 ATT量 ゲイン 出力
1 10V 0dB +10dB 20dBV
2 3.16V 0dB 0dB 10dBV
3 1V 0dB -10dB 0dBV
4 316mV -30dB +10dB -10dBV
5 100mV -30dB 0dB -20dBV
6 31.6mV -30dB -10dB -30dBV
7 10mV -60dB +10dB -40dBV
8 3.16mV -60dB 0dB -50dBV
9 1mV -60dB -10dB -60dBV
部品等
参考文献
本多; 『作りながら学ぶエレクトロニクス測定器―電子機器の設計/製作から調整/評価に役立つ』, ハードウェアデザインシリーズ, 2002年, CQ出版
更新履歴
2019/12/9 誤記修正(LPF2→LPF3)
2017/10/18 Scrapboxにて記述開始