MAXON CS-505 コーラス
コーラスってフランジャで代用可能なので、子供のころにはあまり使う機会がなかった。しかしコーラスの評判を聞くとMAXONのCS-505 を良く言う人は少なくない。そもそもMAXONのコーラスやアナログディレイを好きな人は多いようだ。
一般にコーラスとフランジャは回路的にはほとんど同じである。簡単に違いを書くと、フランジャは短めの遅延(遅れが少ないということ)で、コーラスは長めの遅延をとる。ちなみにもっと長く遅延するとディレイになる。フランジャやディレイは出力信号をフィードバックしてより効果を強めようとしたりもする。フランジャに期待される効果はフィルタである。原音を時間的にわずかに遅らせた遅延音を原音とミックスすることによって、波形的に打ち消されたり強調されたりすることがあって、それがフィルタのように機能する。
で、MAXON CS-505。遅延素子には松下電子のBBD、MN3007を使用していた。BBDでどのように遅延するのかについては、次のBOSS BF-2 フランジャの回に説明をまわそうと思う。ところでこのMN3007には比較的高い電源電圧が必要で、コンパクトエフェクタでよく用いられている+9Vの電圧ではいまひとつ性能が出ない。そのこともあってCS-505 では006Pの四角い乾電池を2個要し、外部電源アダプタには+18Vのものが必要だった。エフェクトボードを組むときに「コイツだけ電圧が違ってメンドクサイ」と思っていた人も多そうだ。なお内部は+12Vにレギュレートされた電源電圧がMN3007他に印加されていた。 いつもどおり双安定マルチバイブレータによるon/off回路は別に付加したものに、電源電圧が+18Vなので、それに合わせて定数変更しつつ、切り替えてある。Direct out があるので他のエフェクタとは出力まわりが若干異なる。
原音の系と遅延音の系が出力間際でミックスされているのがこの手のエフェクタの定番回路なのだが、CS-505 では遅延音系のあとに(ノイズ)ゲートが挿入されていた。BBDとそれを駆動するドライバでノイズが発生してしまう(クロック漏れと呼ばれる)ので、ギターを弾いていないときはクロック漏れノイズをゲートするようになっていた。こういう細かい心配りが人気の秘密なのかなぁ。