分析美学とは
分析美学とは?
分析哲学の美学版。
ざっくり言えば、英語圏が中心の現代の美学と考えてよい。
実は英語では「分析美学」という言い方をあまりしない(分析美学が美学のスタンダードだから)。
分析哲学とは?
ざっくり言えば、英語圏が中心の現代の哲学だが、歴史的に言えば、言語哲学や科学哲学を中心に成り立ってきたなどの特徴がある。
大陸哲学(continental philosophy)と対比されることが多い。
実際には、「分析哲学」という一枚岩の分野があるというよりは、多くの下位分野がゆるやかに結びついているイメージでとらえたほうがよい。
下位分野としては、たとえば以下がある。
言語哲学
科学哲学
形而上学
認識論
心の哲学
行為論
倫理学
美学
etc.
それぞれに入門書があるので、分析哲学の全体を勉強しようとするよりも、下位分野を別々に勉強していったほうがおそらく理解が深まる。
分析哲学系の入門書いろいろ
分析美学をより詳しく
分析美学は大まかに以下の2つの分野の和集合として考えられる。
狭義の美学:美的なもの(the aesthetic)についての哲学。芸術以外の美的なものにも目を向ける。
芸術哲学:芸術にまつわるいろいろな問題についての哲学。芸術が持つ美的な面以外にも目を向ける。
「美的なもの」とは、ひとまずは美的なセンス(感受性)によって把握される質や価値のことだと考えてよい。
美的なものに対する判断が美的判断であり、美的なものを享受することが美的経験である。
美的なものの実例:
抜け感
狭義の美学のトピック
美的判断は倫理的判断などの他の種類の判断とどう違うのか。それは客観的でありえるのか。好き嫌いとどう違うのか。
美的性質は知覚的性質などの他の種類の性質とどう違うのか。そもそも美的性質は本当に物が持つものだと言えるのか(それは実在するのか)。
美的経験という独特の経験は何によって特徴づけられるのか。経験の質そのものが独特なのか、経験をする際の態度が独特なのか、経験の対象が独特なのか。
etc.
芸術哲学のトピック
芸術の定義:芸術/芸術作品とは何か。
芸術の存在論:芸術作品はどのような存在のあり方をしているのか。芸術ジャンルごとにそのあり方はどのように異なるのか。
フィクション:フィクションの本性とは何か。フィクションを通して知識を得ることはどのようにして可能なのか。
描写:描写(画像表象)の本性とは何か。それは言語による表象とどのように違うのか。
表出:作品が感情を表出する(express)とはいったいどういうことなのか。
批評:批評とは何をすることなのか。評価はどのように正当化されるのか。
作品の解釈:作品の「正しい」解釈とはどのようなものか。作者の意図はそこにどのように関わるのか/関わらないのか。
芸術作品の倫理:作品や表現に対して道徳的な善し悪しは言えるのか。言えるとすればどのような意味においてか。
etc.
より詳しくは森「分析美学邦語文献リーディングリスト」を参照:https://researchmap.jp/multidatabases/multidatabase_contents/detail/236789/6a159b75359c681cbbcd19928b30cd24?frame_id=582577