描写とは
描写
画像がそれ特有の仕方で何か(普通は目に見える具体物)を表す働きのこと。
"depiction"の訳。"pictorial representation"(画像表象)とも言われる。
文章による細やかな記述を「描写」と呼ぶ用法でほないので注意。
画像
手描きの絵や写真の類のこと。静止画だけでなく動画も含む。彫刻や模型のような立体物は含まない。
"picture"の訳。"image"、"icon"なども同じ意味で使われることが多い。
コンピュータ上の画像ファイルを「画像」と呼ぶ用法ではないので注意。
事例を挙げる以上の定義は難しい。
日本語だと「絵」が一番近いニュアンスだと思うが、日本語の「絵」には普通写真は含まれないのでちょっと違う。
何も表していない純粋な色と形のパターン(抽象画や幾何学的なグラフィックデザイン)は、この意味での画像に含めない。
実際には「表す」という語が多義的なので、もうちょっと細かい限定が必要。他の回で説明する予定。
画像の例(排他的な分類ではない)
絵画(油彩画、水彩画、水墨画、ドローイング、etc.)
版画(木版画、銅版画、シルクスクリーン、etc.)
イラストレーション/マンガ
写真(フィルム写真、デジタル写真)
実写映像(フィルム映像、デジタル映像)
アニメーション(セルアニメーション、デジタルアニメーション)
画像と言うには微妙な例(今回は取り上げない)
地図
象形文字
サーモグラフィーやfMRIなど、不可視の対象のイメージング
触知画像(tactile picture)
etc.
描写の哲学とは
以上の意味での描写にまつわるいろいろな哲学的な問題を論じるのが描写の哲学。
描写の哲学の入門用テキスト
銭清弘「描写の哲学ビギナーズガイド」obakeweb、2019年 https://obakeweb.hatenablog.com/entry/depiction
松永伸司「描写の哲学を描写する」『フィルカル』5巻2号、2020年(再配布しないでください) https://drive.google.com/file/d/10Rj7etPH_xHrAWNnEv4lGkJK0kyhwdsJ/view?usp=sharing
英語で入門
J. Kulvicki, Images (New York: Routledge, 2014).
J. Hyman and K. Bantinaki, "Depiction," Stanford Encyclopedia of Philosophy, https://plato.stanford.edu/entries/depiction/.