無線機は『声という楽器』発信者となるための
20代前半、多くの建築家を訪ね歩いた。「建築家になりたいのなら、何でもいいから楽器をひとつ始めなさい」ある建築家から言われた。「歌うことでもいい。声もひとつの楽器だから」その『声』には心あたりがあった。10代後半に熱中してたアマチュア無線だ。そして後に普及するネットでの情報発信も。
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20代後半、インターネットが普及し始めると、師匠 JE1DLCに尋ねてみた。「なるほど、無料で色々な情報が手に入るのか」と私は言うと、「少し違うな」とJE1DLCは言い返した。「自分が伝えたいメッセージを世界に向けて発信できるんだよ」「情報の発信者になれることこそ、ネットの本当の価値なんだよ」
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建築家・無線家ふたりの師匠から学んだことを受け入れ、『情報の発信者』になることを心掛け始めると、自分が変わったことに気付いた。仕事をしている時、誰かと会話している時、家で食事をしている時、ベッドで横になっている時でさえ、常に取材する気持ちで、自分の考えをまとめるようになった。
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声は繊細で正直だ。その人の発する声は、その人の気持ちや生き方をも搬送している。何かに対してどれほど真剣に向かい合っているのかは、その人の声を聞けばすぐにわかってしまうことだ。「声」を眼の前の相手だけにではなく、遠く離れた相手にも伝えられる無線機、無線機は『声という楽器』なのだ。
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ピアノ越しに観客席を見た時、ピアノでさえ無線機に見えた。「無線でしかできないこと」ってなんだろう。コンサートの様な「動的」ではなく、「静的」な無線でしかできないこととは。それは自分の思いを相手に伝え、相手の思いを受け取れる双方向のコミュニケーションだ。それも未知なる人ととの。
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