第21回観光情報学会全国大会にて発表しました「地域観光資源としての句碑データ利活用基盤の検討」(2025-06-28)
第21回観光情報学会全国大会にて発表しました「地域観光資源としての句碑データ利活用基盤の検討」(2025-06-28)
こんにちは。愛知工業大学 小栗研究室 B4の竹村信です。
6月28日・29日に京都橘大学で開催された「第21回観光情報学会全国大会」にて発表を行いましたので、そのご報告をさせていただきます。
発表タイトルは「地域観光資源としての句碑データ利活用基盤の検討」です。
https://gyazo.com/0072f53b45cd18faeae94df1c223476chttps://gyazo.com/6867294b689668e612a1eed12b4ee943
研究概要
簡潔に説明しますと、「全国に点在する句碑の情報をデータベース化し、誰でも使いやすい形で公開することで、文化や観光に役立てよう!」という取り組みです。
…と言われても「句碑って何?」と思った方も多いかもしれません。
句碑とは、俳句が刻まれた石碑のことです。
全国各地に存在していて、俳人や俳句とゆかりのある場所にひっそりと立っています。もちろん、観光地や『奥の細道』の舞台となった場所にも多く建立されており、その地域の歴史や文化、風景を伝えています。
例えば、このようなものです。
https://gyazo.com/e3e17476e53319b705221e81043eabf6https://gyazo.com/0224495208b6a44143fe9d2c492dd0c4https://gyazo.com/34beb7c23afb7f4e9fdabf77096c54fb
一方で、以下のような課題があります。
行政ですら把握できていない句碑が存在する
地域ごとにしか情報が整備されていない
探そうと思ってもなかなか辿り着けない
そもそも、句碑について知らない方も多いと思います。
そこで「もっと活用できるようにして、句碑の存在を広く知ってもらいたい!」という思いから、以下の取り組みを行いました。
1. 句碑データベースの構築
2. 位置情報、俳人情報、写真、背景情報などを整理
3. 三重県・石川県の句碑402件を登録
4. Web APIとして公開し、地図やアプリと連携可能に
5. APIドキュメントを作成し、理解を促進
6. APIを使用したWebサイトを試作
7. GeoJSON形式で出力し、地図表示に対応
8. MCP Serverを実装し、LLMから句碑のデータを取得可能に
https://gyazo.com/ba9112decb57199004a9b6acf44f2e27https://gyazo.com/a385f1b53e8f59d54495db71c95f59fb
https://gyazo.com/a6e632bb9eeaa793f64c401d96899117https://gyazo.com/9afa2a1ad87972ac64e52797dcbb4c27
https://gyazo.com/48ff004285b6c6a37f8314b8203346fbhttps://gyazo.com/16576eaeccfa09402bb9d543ca7e9950
この仕組みによって、
地図上で簡単に句碑を検索できる
俳人ごとに絞り込みができる
AIに「この地域の句碑について教えて」と尋ねるだけで情報を引き出せる
といった活用が可能になります。
こうした仕組みが整えば、隠れた観光資源の発掘や、新たな視点からの観光地の再認識につながり、地域の歴史や文化を知るきっかけにもなります。また、教育・研究での活用が期待できます。
今後は、句碑に加えて「詩碑」「記念碑」「歌碑」といった他の文学碑もデータ化し、全国規模での『文学碑マップ』のような形に広げていきたいと考えています。
また、句碑の周知を目的としたアプリケーションの開発にも取り組んでいきます。
感想・反省
今回、初めて学会という場で発表させていただきました。
緊張はしましたが、比較的リラックスしながら発表できたと思います。
発表を聞いてくださった方がうなずいてくれたり、質疑応答で句碑データの整備に関する具体的な質問や、今後の展望として考えているアプリケーションに関する質問をいただけたことで、「自分の研究が少しでも伝わったのかな」と実感できたのは嬉しかったです。特に、アプリケーションに関しては大きな反応をいただけたことで、開発へのモチベーションにもつながりました。
また、今回の学会は全体的に和やかな雰囲気で、楽しむことができました。
発表者の方の中には、話の展開や説明の組み立て方が非常に上手な方が多く、ユーモアを交えた研究発表もあり、「このような面白いアプローチもありなんだ」と視野が広がりました。
一方で、力不足だと痛感した部分も多かったです。具体的には以下のような点です。
技術面の説明が十分ではなかった
話の展開に飛躍があり、わかりにくい部分があった
気になる点を補足できるような話の流れにすべきだった
Webサイトの紹介やGeoJSONの説明の時間が、練習時より短くなってしまい、十分に伝えきれなかった
特に、「句碑データを整理する」というだけではなく、そこからどのように面白さや地域の魅力につなげられるかを、もっと意識して伝えられたら良かったと感じています。
とはいえ、この研究を通じて「興味のある分野」と「情報技術」を組み合わせる面白さ、そして『自分だからできること』の形が少しずつ見えてきた気がしています。
今後も、地道にデータの整備を進めつつ、誰でも気軽に文学や自然に触れられる仕組みを作っていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
句碑や文学、そして地域の自然に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
#対外発表