初めての資産運用
初めての資産運用
https://gyazo.com/1ec008e7719434d319b2612e20ed3385
資産運用とは、自分の持っているお金(資産)を預貯金や投資に配分(運用)することで効率的にふやしていくことをいいます。
はじめに
はじめまして,小栗研究室B4の西澤悠貴です.本記事は,自分が新NISAに向けてなんやかんや勉強した内容をまとめたものです.「NISA興味あるけどよくわからん」「投資とかしたいけど胡散臭そうで手を出せない」という人に向けな記事かと思います. できるだけ正確な情報を心がけてはいますが,内容が間違っている可能性もあるので,実際に投資する際は自分で調べて自分で納得するようにお願いします.
ロシアウクライナ戦争やイスラエルパレスチナ戦争,終わらない円安,上がり続ける燃料費etc.と情勢・社会不安を煽る情報と共に語られることが多いでしょう. そういったこととは一切関係なく,新NISAが始まるいいタイミングということで株式や債権・投資信託を使った資産運用について書いていきたいと思います. 先に言っておきますが,自分は別に資産運用でバリバリ稼いでいるとかではなく,興味を持って勉強中という状態なので悪しからず.
新NISAとは
「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。
新NISAは,2024年の1月から新たに開始される制度です.もう来月ですね(公開日2023年12月1日時点). 「新」と名のつくとおり,現行でもNISAという制度(以下,旧NISA)は存在しています. 旧NISAをおおまかに説明すると以下の特徴があります. 一般,つみたてのどちらかから選択
非課税の保有期間はあらかじめ定められた期間のみ
年間の投資金額上限は,一般の場合120万,つみたての場合は40万まで
table:現行NISA
https://gyazo.com/d6d1aa1ca5459d0b1b493161c8481228
そして,来年から始まる新NISAでは以下のような変更があります. 金額上限はあるが,どちらの枠も利用可能(成長投資枠をつみたて投資枠と同じように使うことも可能,逆は不可)
投資の合計金額が1800万円で保有期間は永続
年間の投資金額上限は,成長枠が240万円,つみたて枠が120万円の計360万円
table:新NISA
https://gyazo.com/b8fc27081db0dd019e3a378b8dfd8688
なぜ資産運用をするのか
みなさんのほとんどはこう思ったことでしょう,それわざわざやる必要ある?,と.
必要があるかと聞かれると,自分にははっきりと答えることはできません.前述したように,運用によって資産が減るリスクが存在しているからです.選択に対してリスクが発生する以上,それは個人の判断によって決めるべきでしょう.
しかし,やった方がいいと私は思います.
リスクという観点で話をするなら,タンス預金ですら実はリスクは存在しています.
「1円は1円なんだから値下がりも何もないでしょ」と思うでしょうがそんなことはありません.いまの円安がそのいい例です.
ここ10年間の米ドル/円相場の上下を以下に示します.
https://gyazo.com/789d14340af84e3414ab532600daa3e2
10年前と比べると円の価値が1$=100円から1$=150円に下がっていることがわかります.つまり,円の価値が約3分の2になっています.また,外貨に関係なく物価が上昇した場合にも円の価値が下がったと言えます.
これがタンス預金ですらリスクがあるという意味です.円の額面は変わらずとも相対的に価値が下がってしまうということですね.
このリスクを低減するにはどのような方法があるでしょうか?
まず一つに,外貨しさんを持つという選択肢があります.前述した円安ですが,資産の半分が円でもう半分がドルだった場合はどうなっていたでしょうか?その答えは資産に変動は起きないです.円の価値が下がった分ドルの価値が上がるので差し引き0です.しかし,これではインフレなどによって物価そのものが上がり通貨の価値が下がった場合には意味がありせん.
二つ目が現物資産を持つことです.現物資産とは金や不動産といった物自体に価値がある資産のことです.金は通貨の価値など関係なく,世界共通で公正な値段で取引されます.そのため,インフレが起きた場合同じように価値が上がっていくため資産の現象は起きにくいです.金と同様に,不動産もインフレした場合はその価値は上昇していきます.さらに,不動産の場合はそれを第三者に貸し付けることで利益を生み出すことができます.しかし,過去の日本でもあったようにバブルによって価値が一気に下落するということもあります.また,金や不動産などは一度現金にする手間がある上,一定以上のまとまった資金が必要になります.
最後が,株式や債権・投資信託といった有価証券を持つことです,本記事の主役ですね.有価証券の細かい説明は後述します.有価証券も現物資産と同様にインフレに強い資産です.インフレによってその分売り上げや収益が上昇するため,有価証券の価値もそれに合わせて上昇します.しかし,皆さんが知っている通り有価証券は日々価値が変動しており,損をする可能性も利益が生まれる可能性も存在しています.
一通りのリスクを説明しましたが,こちらを立てればあちらがたたずというふうに,どの資産を選択したとしてもどんなリスクも付き纏います.資産がどれかに寄っていると一つのきっかけで大きな損失を被ってしまうかもしれません.そのために資産の種類を分散し,リスクも分散して資産を守ることが必要なのです.
その選択肢の一つが,新NISAを使った有価証券による資産運用なのです.
ちなみに,資本主義社会は構造的に緩やかにインフレし続けるようになっています.人口の増加に伴って,通貨の流通量を増やす必要があるため,より多くの通貨を発行する必要があります.すると,通貨の全体量が増えるため通貨単体(日本円で言う1円)の価値が減少してしまい,理論上は物価が向上し続けてしまうのです.
どう資産運用するべきなのか
ここまででもし資産運用に興味を持ったとしても,「減るかもしれないのは怖い」と思う方は少なからず,いや,大体の方がそう思うことでしょう.そういった恐怖は未知からくるものです.資産運用,いわゆる投資の正確な知識を得れば不要な不安を抱えることは無くなります.
有価証券を用いた資産運用で重要な要素は地域の分散と時期の分散の二つです.これは先述したリスクの分散につながってきます.
地域の分散とは,投資先地域を分散することです.ポートフォリオが特定の地域にのみ偏っていると,その場所で災害や紛争,政治的要因などによって市場が大きく変動してしまった場合に大きな損失が発生する可能性があります.例えば,2022年の2月に戦争を始めたロシア株式ファンドの価格推移を見てみましょう.ファンドについては後述します.
https://gyazo.com/9ce9035dbc7c89e9518e7aad7dd9282e
ロシアウクライナ戦争が始まった時期にありえんほど下がってます.このリスクを避けるために地域の分散が大切というわけです.
地域の分散に適切な投資対象の一つとしてファンドが挙げられます.
投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品
投資信託を指してファンドを使う場合もあるようですが,本記事では上記引用に準拠した「会社などによってあらかじめ組成された金融商品」を指すものとします.
ファンドを債券や株式などの個別銘柄を自力で選別し地域分散させることも可能です.しかし,それは知識が必要な上に個別銘柄という分散とは対極の選択をしています.地域分散を謳っているファンドならば,あらかじめ組成された割合で自動で運用してくれるので必要な知識も考えることも少なくてすみます.
ただし,ファンドならなんでもいいというわけではありません.ファンドによってはどうみても損しかないものとかリスクリターンが見合ってないものがあります.そういったものを見極める最低限の知識が必要です.
時間の分散とは,投資タイミングを分散することです.投資の勝ち方は「安い時に買って高い時に売る」ですが,これができたら誰も苦労しません.そこで,一定の金額を定期的に買付をします.そうすることで高い時に少なく,安い時に多く買うことができ,一括での買付に比べて平均買付単価を下げることができます.このような買い方を積立投資と言います.この積立投資を主体としたNISAが,旧NISAの「つみたてNISA」であり新NISAの「つみたて投資枠」に該当します.積立投資という方法を国は推奨しているというわけですね.
さて,それではNISAを使ってどのように資産運用をすればいいのでしょうか?地域の分散と時間の分散を意識した運用として,インデックスファンドが挙げられます.
インデックスファンドとは市場全体の動きを表す代表的な指数に連動した成果を目指す投資信託です。
値動きがわかりやすいなどの特徴があります。
インデックスファンドにはさまざまありますが,最近人気なものはオールカントリーとS&P500です.オールカントリーは全世界の株式に国際分散投資を行うインデックスファンドです.S&P500はニューヨーク証券取引所やNASDAQなどに上場している主要500銘柄の時価総額を加重平均し、指数化したものです.ここで,勘のいいみなさんはこう思ったことでしょう,「S&P500はアメリカだけだから地域の分散に則ってないんじゃないの?」と.その通りです.S&P500は全てが米国企業なので,アメリカの景気が低迷した場合,その影響をモロに受けることになります.ではなぜ人気なのかというと,これまでの実績や成績がめちゃめちゃいいためです.過去30年のチャートを以下に示します.
https://gyazo.com/3a71cc7d1de850cda2e068686291f295
途中で世界恐慌やリーマンショックといった世界規模のイベントによって一時的には下落していますが,元に戻って結果的には上昇しています.この不敗神話がS&P500の支持されている理由です.平均年利回りもオールカントリーが約8.0%,S&P500が約9.8%と非常によいパフォーマンスです.ただ,これはあくまでこれまでの歴史上そうだったというだけで,今後どうなるかは誰にもわかりません.もしかしたら,今後大暴落が起きる可能性も大いにあります.しかし,実はオールカントリーも投資先の半分以上がアメリカ株に投資されているものが多いのでアメリカのしがらみから逃れるのはなかなか難しいです.もっと分散したい!と思ったら新興国株式インデックスとかインド株式インデックスとかをポートフォリオに組み込むのもありではないでしょうか.
ちなみにですが,私はオールカントリーとS&P500をそれぞれ1:1で積み立てていく予定です.実質アメリカ多めのオールカントリーですね.私がこの方法を選んだ理由は,損した気分になりたくないからです.もし,どちらか一方をだけを積み立てていて,もう一方の方の利回りが良かったらどう思うでしょうか.まあ間違いなく「もう一方にしておけば......」と思うことでしょう.両方に投資することで,利回りが二つの中間になり「低い方だけより得だった〜」と思うことができます(高い方だけより損とも言えます).実際問題,神様ですら賽を振るので数年後数十年後にはどうなっているかわかりません.自分が納得する形で投資先を決めるのが一番です.
まとめ
本記事では,これから始まる新NISAに向けた資産運用について紹介しました.資産を保有することのリスク,資産運用における重要な要素などをわかっていただけたでしょうか.この駄文で資産運用の4文字に興味を持ってもらえたら幸いです.
資産運用や投資はあくまで自己判断,自己責任で行うものです.はじめにでも言及しましたが,本記事で述べたものが間違っている可能性もありますし,解説も一部不十分な箇所もあります.「言った通りにやったら資産が減ったんですが^〜?」みたいなクレームは受け付けません.金融商取引法における禁止行為にも気をつけたつもりです.
もし,「投資や資産運用やってみたい!」という高いモチベーションが湧いてきたなら自分で色々調べてみましょう.各金融機関がNISAを使って顧客を増やそうと頑張っているので,情報は手に入りやすいはずです.新NISAまであと1ヶ月を切ったので行動は早めに起こしましょう.それでは.
以降は完全な蛇足です.
本記事を読んで「マネーリテラシー上がったかも🦆」みたいに思っている人はいないですか?それはもしかしたら危険な状況かもしれません.金融庁の調査によると金融トラブルの割合が多いのは,金融リテラシーは低いが金融教育を受けた人です.金融教育を受けたためにそれが金融トラブルと気付いたために割合が増えているということもあると思いますが,それでも下手な金融教育によってトラブルへ発展した場合も多いでしょう.私自身も含めてですが,みなさんもそうならないように気をつけましょう.今度こそ本当にそれでは.
https://gyazo.com/269ed2278d6bde6b1a5b8a9a0e82b2e8