SUZUKIのバイクが変態と言われる訳
https://gyazo.com/c6c2482afef0aae59ce5fc4735c8d07a
突然ですが皆さんは国産4大バイクメーカーをご存知でしょうか。
正解はホンダ,ヤマハ,カワサキ,スズキの4社です。この4社は社風や開発車種などからライダーによりそれぞれ愛称がつけられています。
時計のように精密なエンジンを作り上げることから「技術のホンダ」、楽器のような繊細なマシンを作り上げることから「芸術のヤマハ」、万人受けではない癖のあるマシンの多い「漢のカワサキ」、突出したマシン開発を行うことから「変態のスズキ」とそれぞれ呼ばれています。
なぜスズキだけ変態(褒め言葉)なんて言われるのでしょうか。
それはスズキが今まで開発してきた技術が特殊なものが多いからです。スズキは他の3メーカーに先駆け最新技術を導入することが多く、顧客にハマれば大ヒットにより業界標準、しかし残念な結果を迎えて開発中止なんてこともあります。
そんなスズキが開発した当時では珍しい技術を紹介したいと思います。
まずはじめにフルカウルバイクの市販を国内で最初に行ったのはスズキです。今ではバイクジャンルとして当たり前のフルカウルですが以前はサーキットを走るレーシングマシンにしかありませんでした。当時は公道を走るバイクといえばネイキッドという風潮でフルカウルの需要がありませんでした。しかしそんな固定概念を破壊し、市販車向けのマシンを開発・販売したのがスズキなのです。1983年に発売されたSUZUKI RG250ガンマはその後に訪れるレーサーレプリカブームのきっかけとなりました。
https://gyazo.com/8f8d31b220ee426eb9e82b50bcb822a1
SUZUKI RG250ガンマ
そしてこのRG250ガンマは国内初めての市販車フルカウルバイクだけではないのです。このバイクは国内量産車で初めて車体にアルミ合金が使用されたアルミフレームが採用されているのです。これまでスチール製が主流だったフレームがアルミへと変わることで車重が軽量化され125ccや250ccなどの排気量の少ないエンジンでも十分なパワーが出せるようになりました。
そしてスズキは今のバイク産業では当たり前の技術も初の国内量産車での実装を達成しています。それはエンジンの水冷化です。それまでバイクのエンジンは空冷式が主流でした。しかし、排ガス規制などにより車体から出る排気ガスの量を調整する必要が生じた際空冷式では冷却効率がまばらでした。そのため空冷式エンジンで排ガス規制に対応するには出力を下げる必要がありました。そこで登場したのが水冷式エンジンです。これによりエンジン全体を均一に冷却できるためエンジンの出力を下げることなく排ガス規制へ対応しました。その結果現在の大型バイクのほとんどは水冷式のエンジンが採用されています。
https://gyazo.com/6207eae9483eb12ee1a7c3351139fb9d
国内量産車初の水冷式エンジンを搭載したGT750
しかし、スズキの開発技術は全てが成功してきたわけではありません。そこで代表的なのが油冷式エンジンです。水冷式は冷却効率が良い分構造が非常に複雑でコストが高くなるのが問題でした。そこでスズキは冷却水の代わりにエンジンオイルを使用する油冷式エンジンを開発しました。油冷式エンジンは水冷式エンジンに比べ構造が単純で空冷式エンジンよりも冷却効率がいいというのが特徴です。こう聞くと素晴らしいエンジンのように感じますが油冷式エンジンは水冷式エンジンの冷却効率には勝てずエンジンオイルの消耗が早いというデメリットもあったため結局は開発が中止されてしまいました。
油冷式エンジンは終わりを告げたかと思われましたが2020年に新たな油冷式エンジンが登場しました。SUZUKIジクサー250/SF250は油冷式単気筒エンジンを搭載する250ccのバイクです。冷却効率は水冷に劣りますが、250ccという小排気量でかつ軽量化が求められることから水冷に勝る部分があると言われています。従来の油冷式はエンジンオイルを直接シリンダーに噴射していたため消耗が早かったのですが新たに開発されたSACS(Suzuki Advanced Cooling System)と呼ばれる油冷方式は水冷のようにシリンダーヘッドにオイルジャケットを設けることでエンジンオイルの消耗を防いでいます。そしてこの新たな油冷方式は新型のVストローム250SXにも搭載されています。
https://gyazo.com/737eb7848807e4a12e927b4ef144d7a3
SACS(Suzuki Advanced Cooling System)
このようにスズキは業界の最先端を先駆けているため初めは珍しく思われることが多く、ヒットしなければそのまま開発終了ということもあるため「変態のスズキ」という愛称がついたのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。これを機に皆さんにバイクに興味を持っていただけると嬉しいです。