籠の中の乙女
https://gyazo.com/2ab5d6dc66837e7cfa8483257a2877ca
【脚本】ヨルゴス・ランティモス
【原題】DOGTOOTH (犬歯)
このタイトルについて、ほかでもよかったんじゃないかという人がいたけど私はそうは思わない
犬歯と自立、旅立つときっていうのは作中でしっかりリンクされているじゃないか
日本語版タイトルは、はっきりいってナシ。
状態を伝えることはうまくできているけど、ありがちすぎるしおもしろくもない
外の世界に触れないことでむしろ暴力性が発露されているのがおもしろ…くはないけど興味ぶかい
親は外の世界は危険で有害だからこどもたちを近づけないようとしているが
この理由はタテマエで、支配する相手を逃したくないからだろうか
素のままの人間がいちばん危険なのでは…
飛行機
「あれがおちてきたら私のものだ」 と長女、「力のあるもののものだ」 と激高する母親
飛行機のオモチャは親がコントロールしている、手にいれるのは長女
長女はこういう環境で育っているのにけっこう意思つよなんだよな。クリスティーナと交渉 (脅す) する
長男への優遇
なんとなく長男への扱いは長女、次女よりいいように見える
それに気づいてかどうなのか、次女がよく長男をハンマーでなぐったり包丁できりつけたりする
そもそも、長男の欲求 (しかも性欲) だけが叶えられるものとされているのもおかしいだろ
家で起こることはすべて仕組まれている
→仕組まれているものから外にでていく話
アルプスもそうだった。代役をやっている人達がいて、その枠からはみ出してしまう
演技からの逸脱
演技といえば、この家では海とか電話とかの単語の意味がまったく別に差し替えられているのがおもしろい
女の人生の最盛期は20~30代とか言い出す、
それが事実かはともかくそういう言い訳口実で10や20も年齢のちがう女と関係を持とうとすることを正当化しようとする人が気持ち悪い、まあそれはおいといて
こういう発言は父親がするから、別に肯定されているわけではない
「私のことはブルースと呼んで」 「私もそういうのほしい」 「自分でつければいいじゃない、好きなものを」
そういえば、このきょうだいには誰にも名前がない
あるのかもしれないが、呼ばれることはない
名前を持ったということは、自立したということ?
「私じゃない、猫がやった」「ちがう、彼女にやられた」
明らかに猫ではありえないことは明白だけど、そういう嘘をすでにいってしまった以上、親たちはそちらを信じるしかない
こちらもアルプスと同じく暴力的なことが淡々と描かれているのは怖い
でも、同じく性が醜くかかれているのは好き
この監督は性が好きじゃないんだろうなという感覚。だから苦手じゃない
だけど、バーベルで歯を折るシーンはこわい
それよりなによりビデオテープで殴るシーンがいちばんこわいけど…
https://gyazo.com/d0ab6f1b95cba316780a990d31e68232
家の内装や光の具合は妙に明るい
https://gyazo.com/0338b8d9d531399c0f28dd402db39d06
こんなかんじの、顔が見切れているシーンがちらほら出てくる
https://gyazo.com/d15727834f9f5e1d27c88d1227dc1bbd
影の感じがおもしろい
https://gyazo.com/2a1765a070aa3ea19336dc8ab3ff0b97
よくパロディにされるダンスシーン
「ユーモア」 があるというのは言い得て妙だとおもう
なんだかちぐはぐで居心地の悪い感じがあるし、会話もなんとなくズレている、その感じに笑えないこともない
これはアルプスも同じだった
ラストシーン、かなり長くトランクが映し出されるだけで娘が中から出てくることがない
自分だったら、最後出てきて走っていくシーンを入れてしまうな。
観客としても出ていくかな、出ていくかな、とおもって見ていたら結局なにも起こらないまま終わるというのは意外ではないか
まあたぶん脱出成功するんだろうけど、監督の興味はそちらにないということだろうか
でもそれだけならあんなに長くトランク映すかな
たとえばあそこで父親が車から出たあとそのままおわったらどうだったんだろう
これもアルプスもそうだったけど、1時間半というのはちょうどいい時間設定だとおもう。
public.icon