ソクラテスの弁明
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【著者】
【訳者】
【出版】
以下のような人々に対して,真実をあらわにする
そのものがなんであるかを知らないのに,知っていると思い込んでいる
そして,あることを知っている(と思い込んでいる)からと言って,それ以外の事柄についても,人間の中で自分たちが最も知っていると思い込んでいる
他者を吟味しながら,自分自身も吟味する
金銭から徳は生じないが,徳に基づいて金銭や他のものは全て,個人的にも公共的にも,人間にとって善きものになるのだ
量の多い少ないではなく,善い悪いの価値が問題である
できるだけ善くなるように,という配慮が必要である
自分自身ができるだけ善く,思慮あるものになろうと配慮する前に,自分自身に関するさまざまな事柄に配慮することがないように.また,ポリス自体を配慮する前に,ポリスに関わるさまざまな事柄に配慮することがないように.そして,他のものについても同様に,そのような配慮をするように.
「徳」とは,そのものの本領が発揮される優れたあり方である
配慮が向かう魂が「自己自身」であり,その善いあり方が「徳」(アレテー)
自分がきちんと考えたり配慮したりしたことがない重要問題について,あたかも善く知っているかのように思い込んで他人を糾弾すること,それは「無知」の極みであろう.
「知る」という状態は「思う」という状態とは区別される
知る
明確な根拠を持って真理を把握しているあり方
知っているものは,その内容や原因を体系的に説明できなければならない
思う
なんとなくそう思う
曖昧にそう思い込んでいるが根拠がない
ソフィストと,ソクラテスとの違い
ソフィストの目的
言いくるめること
自分の意見が通るように,人々を説得すること
説得するために効果的なレトリックを学ぶ
ソクラテスの目的
真実を語ること
○○自体とは何か,○○自体を配慮するとはどういうことか,明確にすること
では,「論駁」の手法においてはどういった違いがあるのか?
この「弁明」では明らかにされない
ソクラテスの批判
知らないものを知っていると思っている状態こそが「恥ずべき無知」
ナザレのイエスが十字架にかけられたことにより「キリスト教」が成立し,彼の教えが全世界に広まったように,ソクラテスの裁判と刑死が「哲学」の意味を開示し,その営みを継承する人々によって西洋の哲学が成立して,今や日本をふくむ全世界で人々は哲学に従事しようとしているのである
kana.iconコテンラジオでもイエスや吉田松陰についてこのようなふれられかたをしていた 確信を持って死んでいった師のすがたにふれ,何かを起こすのはその弟子や周りの人々
ソクラテスにとっての神
神が姿を変えたり,人間を欺いたりというような,人間的な姿の御伽噺は誤りであるとする
大切なことを知り,それらを実現している,理想モデルとしての神
ちなみに,古代の宗教は個人の内面や信条を問題にするのではなく,共同体の祭祀や行動規範に関わるもの
対話編について
プラトン自身は「書き言葉」の限界を指摘しているが.対話編(書物)としてソクラテスの言葉を残した
対話は,読み手自身が対話の相手として主体的に考えることによって,初めて生きた哲学の媒体となるのである.