アズミ・ハルコは行方不明
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どこまで行ってもなにも変わらない、なにも起きない、田舎の風景。その景色の中に、安曇春子は消えた。
そう、この「時の止まった田舎に住んでる、時の止まった人たち」を書くのめちゃめちゃうまいよね、山内マリコ!
たとえ消えたとしても、安曇春子ではなくアズミ・ハルコとして消費され続ける……(しかも、男に!!)
ラストは春子が生きていて、失踪なんてしてなくてふつーに今井さんと暮らしてたの、よかったな………。
失恋って概念よくわからなかったけど居場所がなくなる感じが不安なのか。 愛菜と春子の、セックスしたことで逆に(???)仲間から外される感じ、わかるね。
ところで、社長&部長と春子の会話は示唆に富む内容だったな。
セクハラ発言や、女性蔑視発言や妊娠出産しないと/若くないと女じゃないみたいな発言に対して、春子が不機嫌な顔になり、棘のある返事をする→春子自身は「ヤベッ」と思っているが、社長たちは一切気にせず「ぼくのかんがえた“女“概念のこきおろし(あるいは持ち上げ?だと思ってる?)」を続ける。→春子は自分の存在が全く無視されているように感じてそれがつらいようになる
春子は社長の発言と、社長の視界に自分が入ってもいないことに、思いがけず深く深く傷ついてしまう。
→でも逆に考えると、これは、面と向かっている私たち自身に対して何かを言っているわけではない??のでは??
自分が言われた、と勘違いするからつらいのでは………!!!
どうしてこんなところにいるの? 死にに来た。
なんで死ぬの?
全部ユキオのせいだよ。
ユキオ? ああ、あいつ。
そう、あいつ。
あんな男どうでもいいじゃん。 どうでもよくないの。
傷つけられた仕返しをしなきゃ。 仕返しなんて、しなくてもいいよ。 なんで? やられたらやり返せ、でしょ?
そんなのはバカな男が言うことだよ。 は? なに言ってんの?
女の子に必要なのはね、もっと別の言葉。
は?
女の子にはね、もっと別の言葉が必要なの。
たとえば?
「愛菜でいいんですか? 愛菜もまぜてくれるんですか?」 愛菜はこれまで、そんなふうに誰かに言われたことなんて一度もなかった。 あなたが必要なの。 あなたに来てほしいの。 愛菜の目のふちに、じわりと涙が滲む。
わかるなあ。だれかの特別になりたかったんだよね!!その選択肢が男しかないと思ってただけで。
ラスト、
愛菜はあの旗に使われていた行方不明の女の子たちが、本当はみんな、ムカつく現実から逃げただけで、誰に殺されたわけでもなく、変質者に監禁されているわけでもなく、みんなどこかで元気に楽しく、へらへら笑いながら生きていることを祈った。
おそらく着想はここからだよね。著者の本音の感じがする。
やっぱり、kana.iconからしたらここで書かれているような、「生活できなくなっちゃうからしかたなく」ではなくて「なんだかんだいって男が好きだし男に癒やしてほしい」気持ちはほんとーーに理解不能なんだよな。
kana.iconは、結局ヘテロの女の子たちは家族になってくれないでしょ?最後まで一緒にいてくれなくて、男のところに行くでしょ?っていう白井瑶が書くような疑いを女のコに対して持っていて、だからこそ結果として「男好き」の人たちとおなじ行動に見えていたパターン。 まあこの話自体は、そーゆーヘテロ恋愛脳の女たちが最終的には女同士で生きようとするという話だし、それが最高だったけど。 kana.icon
田舎とそこで暮らす若者書くのうまいな〜!!それにうまくフェミニズムとシスターフッドをミックスして、最高だった。
社長と春子のエピソードが示唆に富んでいた……
ユキオ、学の言っている「昔のキャラ・ポジションでいないとならないのが息苦しい」 のも激しく同意する
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