自分にとってはなんてことない「方法」を懇切丁寧に解説する。
自分にとってはなんてことない「方法」を懇切丁寧に解説する。 自分にとってはなんてことない「方法」を懇切丁寧に解説する。
かつて師匠が「自分の足もとを掘り返せ」と言っていた。
2003/10/28 (火) 14:07:10 ▽ 久恒啓一 exserver3.myu.ac.jp / Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1)
1年ほど前だったろうか、青春出版社の二人の若い編集者と東京駅のステーションホテルの喫茶で会った。若いビジネスマン向けに、「勉強法」の本の執筆を依頼された。ビジネスマンとしての仕事を持ちながら、知的生産の技術研究会という勉強会に属し、本を書いてきた私にどのように勉強すればいいか自身の体験を土台に書いて欲しいとのことだった。 昨年出した「図で考える人は仕事ができる」が話題になってから、私の環境は一変し、多くの出版社から本の執筆の依頼がきている時期だった。私は彼らの説明を聞きながら、うんざりしていた。私にとっては目新しくない考えを改めて書くということに、情熱がわかなかった。私は断ることにした。「勉強なんかやったってダメなんだ。自分の仕事に全力を注ぐことが大切なのであって、むしろ勉強していけない」といった論調でまくしたてた。
ここで予想もしないことが起こった。「今まで、久恒さんはそれでやってきたんですね。それでは、勉強してはいけないというテーマで書いてくれませんか?」これが編集者の答えだった。私は不意を突かれた気がした。そう言われてみると、自分が仕事に取り組んできたとき、他社の事例などを真似せず、足元の現場を必死で掘ってきたことを思い出した。「そうだ、勉強してはいけないのだ」という強い気持ちが湧いてきたことを思い出す。20年以上にわたって勉強会を主宰してきた結論は、「勉強してはいけない」ということだったのだ! 「勉強病」「勉強苦」からビジネスマンは解放されるべきである。私はやる気になった。本の出版にはいつもいろいろな困難が襲ってくる。今回もそうだったが、ようやく満足のいく形で完成した。先日、ステーションホテルの見える丸ビルのレストランで件の編集者と打ち上げをやったとき1年前の東京駅の喫茶の中でのシーンが鮮やかに浮かび上がってきた。この本を書き終えて、私は何か吹っ切れたような心境になった。不況が延々と続くのは、解決策が外にあると考えている人が多いためではないか。私たちがやってきた勉強とは人の真似とパクリのことだったのだ。
「勉強してはいけない!」、このメッセージはビジネスマンに届くだろうか?