六角暗号記帳
パスワードをメモすることはオススメしません。盗み見されたり、紛失したりするからです。
しかし、忘れてしまえば本末転倒ですから、メモしないと不安な方もいるでしょう。
その場合でもパスワードそのままをメモするのでなく、工夫をすることが肝要です。
オススメのものに六角暗号記帳というものがあります。
2つの6角形を組み合わせたところにパスワードを記録するというユニークな手帳です。
https://www.youtube.com/watch?v=KcDjCU6Yw9E
作り方
2つの6角形上の48マスにパスワードを記載します。
パスワードが12文字なら12マスを埋めます。
残りの36文字をなにか別の文字を適当に埋めます。
つまり、文字の中に文字を散りばめて、隠した順番を覚えておくという方法です。
悪意のある相手がひと目見たとしても、すぐに正しいパスワードにたどり着くことは困難と言えます。
安全性
もし、この六角形部分がバレたとして総当たり攻撃を掛けてみましょう。
一つの六角形が12文字を二重にしており、それが2つであることから、文字の個数は48文字です。
$ 12×2×2=48文字
48文字以内のパスワードを作るとして、48の階乗ですから、
$ 48! \fallingdotseq 1.24 \times 10^{61}
と、10の61乗以上の組み合わせが考えられますので、総当たりをかけようと思う人はいないでしょう。
ただ、これは48文字のパスワードを作ったという過程であり、そんな人は稀です。
実用として、48文字から12文字のパスワードを作るとして、$ {}_{48} P {}_{12}ですから、
$ {}_{48} P {}_{12} = 48! / (48-12)! \fallingdotseq 3.3 \times 10^{19} \fallingdotseq 3300京通り以上
となります。
これは、英数字10文字のパスワードと英数字11文字のパスワードの間くらいです。
$ 62^{10} < {}_{48} P {}_{12} < 62^{11} \\ (8.3 × 10^{17}) < (3.3 × 10^{19}) < (5.2 × 10^{19})
先の2例ほどではありませんが、このメモ帳を落としたとしても、現在のコンピュータの性能なら、まだ比較的安全といっていいでしょう。
だとしてもパスワードがバレるキッカケができてしまった場合は、危険ですから必ず変更するようにしましょう。
10文字の英数字のパスワードは8ヶ月程度
11文字の英数字のパスワードは41年程度
で解析されてしまうようです。
つまり、六角暗号記帳が他人の手に渡った場合に、そのあいだの期間には解析されてしまうが、少なくともメモ帳を落としたと気づいてからパスワードの変更するための時間稼ぎとしては十分な時間です。