〈有〉
チャーンドーギヤ・ウパニシャッド 6-2
ウッダーラカ・アールニ
1. わが子よ、太初においてこれ(宇宙)は<有>だけであった。唯一で第二のものはなかった。
これについて、ある者は説く。
「太初においてこれ(宇宙)は<無>だけであった。唯一で第二のものはなかった。
この無から有は生まれた。」と
2. 彼は説いた。
しかし、わが子よ、どうしてそのようなことがありえよう。
どうして無から有が生まれよう。
そうではなく、わが子よ、
太初においてこれ(宇宙)は<有>だけであった。唯一で第二のものはなかった。
3.それ(有)は想った。多になろう、繁殖しようと。それは火を生みだした。
火は想った。多になろう、繁殖しようと。それは水を生みだした。
それ故、どこでも苦熱を感ずると人は汗を流す。そのときまさに火から水が生ずるのである。
4.水は思った。多になろう、繁殖しようと。それは食物を生みだした。
それ故、どこでも雨降れば食物は豊かである。そのときまさに水から食物が生ずるのである。
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