2.2 無線伝送(pp.93-96)
多くのデバイスが無線通信に依存している
無線デジタル通信研究は 1970年代のハワイ諸島で始まった
2.2.1 電磁スペクトル(pp.93-94)
無線通信には、アンテナによる効率の良い電磁波の受発信が欠かせない
電磁波 = 電子の運動によって生まれて空間を伝搬する
補足:電流が空中にもたらす「電」界と「磁」界との連鎖的変化の「波」
https://www.jp.tdk.com/techmag/knowledge/200911u/img/kl091101u.gif
画像:電磁波の原理
一定の光速のもとで、波長と周波数は反比例の関係(2-1)
λf = c (2-1)
光速(speed of light)c = 電磁波の真空中の速さ(一定) 3 × 10 の 8 乗[m/秒]
周波数(frequency)f = 波の秒あたりの振動数
波長(wavelength)λ(ラムダ)= 波の頂点(振幅の最大値)から次の頂点まで、または波の谷(振幅の最小値)から次の谷までの距離
補足:振幅(波の大きさ)と位相(波の相対位置)も重要
https://juken-mikata.sakura.ne.jp/wp-content/uploads/2019/05/9ff084b0c9cb04d20934b8d3bf94e1a31.png
画像:波の波長と振幅
電磁スペクトル(Electromagnetic Spectrum)
周波数と波長の関係の中で存在する様々な電磁波を連続的に表現したもの(図 2-8)
無線、マイクロ波、赤外線、可視光線 : 周波数、振幅、位相に変調を加えることで通信に利用可能
周波数帯ごとに ITU が名前をつけている
周波数が大きいほど電磁波の信号が運べる情報量が多い(後述)
多くの伝送では、比較的狭い周波数帯域幅を用いてスペクトルと電力を有効利用する
補足:「無線」伝送の一種に「無線」があるのはなぜ?
図 2-8 の「無線」は、英語版では「Radio」とされている
https://scrapbox.io/files/6576a6cfa04bb9002444f309.png
画像:英語版の第5版より図 2-8 と同じもの(赤線は引用者)
かつては、電気信号の無線通信を実用化した手段は電波(radio)だけだったので、国語辞典に「無線とは、電波を利用した通信のこと」のように書かれた時期もある。
引用:Wikipedia「無線」
かつては現在の無線(Radio)の周波数帯が無線伝送の全てだったからかもしれない
あえて呼ぶなら「ラジオ無線」が分かりやすいと思う
2.2.2 周波数ホッピング・スペクトル拡散(p.95)
広い帯域幅を活用する三つの通信(図2-9)
周波数ホッピング・スペクトル拡散(frequency hopping spread spectrum)
送信機で何百回も周波数を変える方式
盗聴や妨害に強く多重経路フェージングにも頑健なので軍用通信に用いられる
補足:フェージングは多重経路フェージング(multipath fading)(p.41)のこと
商用では Bluetooth、古い 802.11 にも用いられる
発明者ヘディ・ラマーは、第二次大戦期の連合軍の魚雷への通信遮断を目的として発明したが日の目を見なかった
モバイル電子デバイスでようやく実用化された
2.2.3 直接シーケンス・スペクトル拡散(pp.95-96)
直接シーケンス・スペクトル拡散(direct sequence spread spectrum)
「符号列を用いて信号を広い周波数帯に拡散」
異なる符号列を用いることで、同じ周波数帯でも異なる信号が使える
干渉やフェージングに強く、古い 802.11b 無線 LAN プロトコルで用いられた
2.2.4 超広帯域通信(pp.96)
UWB(Ultra-Wide Band:超広帯域)通信
「一連の低エネルギー短時間パルスを、搬送周波数を変えながら送信して通信」
帯域幅が広く、狭い帯域の信号からの妨害に強い
エネルギーが弱いので、狭い帯域の信号を妨害しない
応用:レーダー画像や位置追跡技術など
まとめ
電磁スペクトルの一部の帯域が無線通信に利用されている
広い(しかし有限なリソースである)帯域を活用する通信方法が3つある