1.3 ローカルからグローバルに至るネットワーク技術(pp.14-24)
この節は説明的なので逐次的にまとめることはせず、個人的に特筆すべき点のみ取り上げていくことにする
1.3.1 パーソナル・エリア・ネットワーク(pp.14-15)
マスター−スレーブ(master-slave)
「マスターがスレーブに、どのアドレスを用いるか、いつ送信を行ってよいか、どれだけ長く送信してよいか、どの周波数を用いてよいかなどを告げる」
ソフトウェア開発では、しばしばモジュール同士の役割関係を明確するためにマスター/スレーブという言葉が用いられる
奴隷制に関係する言葉であることから、この言葉の廃止・置き換えについての論争があるよ、くらいの注釈がわずかでもあれば、この本はさらに「テキスト」らしくなったと思う
たまたま見つけた 6th edition の英語版PDFを検索すると、"master-slave" は一度しか登場しない
せっかくなので古い版も調べてみたら、第3版以降同じだった初版と第2版は見つからなかった
1.3.2 ローカル・エリア・ネットワーク(pp.15-17)
メッシュ・ネットワーク(mesh network)
「近くにあるデバイスが互いにパケットを中継する」タイプのLANの構成
あまり親しみが無いが、発展中の地域や大きな家庭でよく用いられるらしい
VLAN(Virtual LAN:仮想LAN)
「大きな物理的なLANを二つの小さな論理的LANに分割することもできる」
論理的に固有のネットワークとして構築されたLANのこと
1.3.3 ホーム・ネットワーク(pp.17-19)
ホーム・ネットワーク (home network)
p.18 に書かれている特性の記述は身近に理解できるので面白い
1.3.4 メトロポリタン・エリア・ネットワーク(pp.19-20)
MAN(Metropolitan Area Network:メトロポリタン・エリア・ネットワーク)
例:ケーブル・テレビ・ネットワーク(そうなんだ)
「テレビ電波の受信が困難な地域で用いられていた初期の共同アンテナ・システムから発展した……そのうち企業がビジネスとして参入し、自治体から都市全体を接続する契約を取り付けた」
p.20「インターネットが人々を魅了し始めると、ケーブル・テレビ事業者は、システムに多少の変更を加えることで、スペクトルの未使用部分で双方向のインターネット・サービスを提供できることに気づいたこの時点でケーブル・テレビ・システムは単にテレビ番組を配信する手段からメトロポリタン・エリア・ネットワークへと変貌した」
ケーブル・テレビと無縁の人生だったので勉強になった故郷・浜松にも一局あるにはあるけど
ケーブル・ヘッドエンド(cable head-end)
MANを構成するシステムで、テレビ信号とインターネットの両者を接続して各戸に分配する
1.3.5 広域ネットワーク(pp.20-24)
WAN(Wide Area Network:広域ネットワーク)
「一つの国、大陸、さらには複数の大陸といった広大な地域に広がったネットワークである」
通信サブネット(communication subnet)、サブネット(subnet)
ここでは「回線とルーターの集合」という意味で用いられる
ネットワーク・アドレスとの関係で獲得した新しい第二の意味とは区別される(第5章で詳述)
自分も後者を思い浮かべてしまったAWS VPC(Virtual Private Cloud)を触ったことがあるので
フォワーディング・アルゴリズム(fowarding algorithm)
「ルーターが次にパケットをどこに送るかどのようにして決めるか」
WAN と LANの違い
1. 「通常WANでは、ホストとサブネットは別々の人により所有・運用される」
2. 「第二の違いは、ルーターは多くの場合、異なるネットワーク技術を接続する点である」
インターネットワーク(internetwork)
「WANは実際にはインターネットワーク(internetwork)、すなわち複数のネットワークを包含する複合的なネットワークである」
3. 「最後の相違点は、サブネットに何が接続されるかである」
個々のコンピュータかもしれないし、LAN全体かもしれない
仮想プライベート・ネットワークと SD-WAN
VPN(virtual private network:仮想プライベート・ネットワーク)
「無線技術を多様するWANの種類もある」
例:衛星システム
「衛生システムは本質的にブロードキャスト・システム」
例:セルラー電話のネットワーク(第2章で後述)
SLA(Service-Level Agreement):サービス・レベル契約
ソフトウェア定義WAN(SD-WAN:software-defined WAN)
広域的なサービス品質保証のためのネットワーク技術ということかな?
SDN(Software-Defined Network:ソフトウェア定義ネットワーク)
「プログラム可能なスイッチとソフトウェアプログラムとして実現された制御論理の組み合わせによりネットワークを制御するアーキテクチャ」
1.3.6 インターネットワーク(p.24)
インターネットワーク、インターネット(internet)、インターネット(Internet)、ネットワークの言葉の区別について書かれている
インターネットワーク(internetwork)またはインターネット(internet)
頭文字が小文字のとき、本書では「相互接続されたネットワークの集合体」を指す
インターネット(Internet)
頭文字を大文字で表記するとき、本書では「コンテンツ・プロバイダ、アクセス・ネットワーク、企業ネットワーク、ホーム・ネットワークその他多くのネットワークを互いに接続する」「一つの特定のネットワーク」を指す(本書で後ほど詳述)
ネットワーク(network)
本書では「単一の技術で相互接続されたコンピュータの集合」を指す
=冒頭の「コンピュータ・ネットワーク」の定義
つまり?
相互接続されたネットワークの集合体=インターネットワーク、インターネット(internet)
「インターネット(Internet)」と区別
単一の技術で相互接続されたコンピュータの集合=ネットワーク(コンピュータ・ネットワーク)
ゲートウェイ(gateway)
「二つ以上のネットワークを接続し、ハードウェアとソフトウェアの両方の観点から必要な変換を提供するデバイス」
プロトコル階層のどの層で動作するかで区別され、ネットワーク層でパケット交換するゲートウェイがルーター、と理解される
インターネットワークはルーターで接続されるというわけである