基礎こそ大事
法律学においては基礎こそ大切です。法体系の把握とか条文の読み方とか。大学の法学部で4年間かけてそれをゴリゴリ訓練します。枝葉の知識(過去の情報)をどんなに知っても、将来遭遇する法律問題に対して自分で解を出すチカラは身につかないからです。
素人ほど、特効薬を求めがちです。すぐに役立つ情報はすぐに役立たなくなります。僕はそんなことを伝えることを目的としていない。最先端の未踏な創作を行なっているクリエータのみなさんが、自分で法的な解を出せる(少なくとも法的な展望を描ける)ようになっていただきたいと思ってこのご依頼を承っております。最先端のテクノロジはクリエータ自身が最もよく理解しているはずですから、その本人が法的な理解まで進めることができた方が、対社会的にご本人とそのテクノロジの未来を切り開くことになるからです。
「魚を与えて1日を養い、漁法(すなどり)を伝えて一生を養う」をモットーとして教育に携わっております。だから僕の授業やセミナー類はすぐ食べられる魚を与えることは目的としておりません。漁法を身につけていただきたい。
司法試験合格者たちも(もちろん不合格者たちも)、「基礎」の大切さを繰り返し述べます。他の分野も同様だと思いますが、法律学において基礎がものすごく重要なのです。法律とは原則と例外の入れ子の構造をしており、原則の存在を前提として例外が設けられます。だから基礎、すなわち原則の理解が何より大切です。それなくして例外(今回のセミナーでいえば特別法の位置付けとか)への言及はできないのです。逆に基礎を理解していれば、将来、例外を用いる必要が生じたときにも、その限界を画することができるはずです。
基礎こそ大切。
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nishio.icon運営メールのやり取り中で塩澤先生が書かれた文章がとても良かったので転載しました