リールセンサデータを用いた海上釣り堀における釣り動作・状態認識
小手川康太, 小嵜 泰造, 松井智一, 松田裕貴, 諏訪博彦, 安本慶一: “リールセンサデータを用いた海上釣り堀における釣り動作・状態認識,” 第33回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ (DPSWS 2025), pp. 63-69, 2025.
Abstract
SNS や動画配信文化の浸透により釣り体験に対するニーズが多様化する中で,釣り堀などの各種釣り施設におけるリアルタイムな釣果状況と混雑度の正確な把握がより重要となっている.本研究では,リールに装着したセンサから得られる時系列データを用いて釣り人の状態遷移を自動認識する手法を提案する.釣りを 5 つの基本状態(仕掛け準備中,仕掛け沈下中,待ち中,ファイト中,仕掛け回収中)で定義し,センサデータから 3 つの特徴的動作(仕掛け投入,釣り上げ,仕掛け回収)を 1 次元畳み込みニューラルネットワーク(1D-CNN)により認識する.これらの動作認識結果と状態遷移の制約を組み合わせることで,従来困難であった「釣り上げ」動作を含む釣り人の連続的な状態把握を実現する.1D-CNN は組み込みシステムでの軽量処理に適しており,将来的な釣り竿への直接的なセンサシステム組み込みを想定した設計となっている.海上釣り堀において 9 名の被験者から収集したデータを用いた実証実験により,提案手法の有効性を検証した.極端なクラス不均衡により現実的な条件(その他クラスのサンプルを全部含めた場合)でのマクロ平均 F1-Score は 51.65%に留まったが,バランス調整後(その他クラスのサンプル数を 5%にダウンサンプリングした場合)では 71.9%まで向上し,手法の潜在的な能力を確認した.混同行列の分析から,同じリール巻き動作である釣り上げと仕掛け回収の識別が可能であることを確認し,1D-CNN が微細な動作特性の違いを効果的に捉えることを実証した.本研究により,従来困難であった「釣り上げ」動作を含む詳細な釣り状態の定量化における技術的可能性と限界,さらには,釣り堀の運営最適化と利用者への情報提供に向けた基盤技術の方向性が示唆された.
Links
DOI: https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/records/2004858
PDF: https://cocolab.jp/publication/files/202511_DPSWS_Kotegawa.pdf
BibTeX
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Category
Domestic Conference Paper(国内研究会)
Conference
DPSWS2025
Keywords
Fishing(釣り)
Collaborating Organization
NAIST(奈良先端科学技術大学院大学)
GLOBERIDE(グローブライド)