申請主義について
利用者が物理的にも能力的にも選択と申請の手続きが可能な状況にあることを前提としている
1. 公的扶助の情報提供
第八章 福祉サービスの適切な利用
第一節 情報の提供等(情報の提供)第七十五条
1. 社会福祉事業の経営者は、福祉サービス(社会福祉事業におい て提供されるものに限る。以下この節及び次節において同じ。)を利用しようとする者が、適切かつ円滑にこれを利用することができるように、その経営する社会福祉事業に関し情報の提供を行うよう 努めなければならない。
2. 国及び地方公共団体は、福祉サービスを利用しようとする者が必要な情報を容易に得られるように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
つまりは『努力義務』にとどまっている
2. 公的扶助の情報提供(国外の例)
🇩🇪 ドイツ(社会法典)
啓発義務(13条)、助言・相談を受ける権利(第14条)、情 報提供義務(第15条)、管轄外の役所に申請がされた場合の 管轄給付主体への移送義務(第16条)
🇸🇪 スウェーデン(社会サービス法)
広報義務、情報提供義務(第3章1条)、当事者の情報提供 を受ける権利(第3章4条)
🇰🇷 韓国
社会保障給付の内容、要件と手続き等について、保障機関の情報提供、広報義務が定められた(2014年12月の「社会保 障給付の利用・提供及び受給権者の発掘に関する法律」の制 定)
政府がキャンペーン『「死角地帯(需給漏れ層) の縮小を』を行い、イラスト入りパンフレット、地下鉄の広告、制度内容啓発漫画、動画コマーシャルなどをうち、生活基礎保障の受給率は2.6%(2014年)→3.2%(2016)に増加
3. 申請の障壁
「受理」までのハードルの高さ
必要書類を全て揃えて提出し「受理」とされる
1. 能力的/時間的に書類を揃えることが難しい人たち
2. 窓口時間に申請に行くことが難しい人たち
生活保護の「水際作戦」と称される「申請」さえさせない対応 申請から受理プロセスにおける伴走支援の乏しさ
受理までのハードルが高いが、そのプロセスを伴走してくれる公的支援は乏しく、インフォーマルなサービスに頼らざるを得ない状況
インフォーマルな支援団体の弁護士や社会福祉士が申請同行、申請手続き支援を行うなど
認知症や知的障害、精神障害等によって必要な福祉サービスを自身の判断で適切に選択・利用することが難しい方を対象にした福祉サービス利用援助事業
「日常生活自立支援事」「地域福祉権利擁護事業」などと呼ばれるものは存在するが限定的
4. 行政窓口の職員の専門性不足
困って、行政窓口に行ったものの、職員の知識不足、誤った知識の伝達によ り、必要な制度にたどり着けないことが生じている。
行政職員の対応が、相談者の行政不信を生じさせ、再びの制度へのア クセスを妨げてしまうこともあることが報告されている。