麦飯
麦を挽き割りにする道具があって、それで砕いて米の足しにしていた。
乾燥した麦をそのまま機械の上にいれておいて、歯車を回したら下へ落ちてくる仕組み。それで半分から1/3くらいに砕いていた。
(編者注:挽き割りにするのは食べやすくするためと言われる。麦は大粒で吸水しにくいため。)
・僕らぁ、小学校の時は「学校から戻んて来たら麦を半分に引き割っちょっけよ」言われて、やらないかんかった。麦はそのまま乾燥させて置いちゃあるきよ、それでは炊いても食べれんじゃいか。それを機械に入れたら、落ちるときに半分から1/3に割れる、その割れたがを洗って入れて、ご飯を炊くのよ。そうすると食べよいのよ。
・なんぼも田んぼがない。家族がよけっじゃったき、米ばっかりは食べれんかったきね。食べるものがどっさりいるけ。
・中学校になったら、朝、「学校へ行く前に搗き屋へ行って、これ頼んじょけ」って言われて、自転車に積んで、搗き屋へ持って行って、「ひしゃぎ」にしてもらうのよ。麦をひしゃいでもらうと売りゆうような「ひしゃぎ」ができるがよ。それを米と一緒に炊いたらえい。お金もかかるけんどね。
・搗き屋は吉野から自転車で3~4分ばあかかるところにあった。学校へ行くのに遠回りになるけんどね。それを頼んじょいて、戻りにも遠回りになるけんど、寄って取って帰った。家まで戻るに、ちょっと重たいけんど、一生懸命自転車踏んで戻らないかんわ。
・お客さんが来てくれたときには、おかあは米ばかり炊いとった。お客さんが来たときは別に米だけ炊いてごちそうしよった。お米食べたかった。味が違うけん。米は違う。