壁作り
壁はどうやってつくるんですか?
壁は土壁。若一さん(若一王子神社)の後ろにね、きれいな赤土があって。 それを掘って、あの時分、一輪(一輪車)がなかったけん、バイリョウ(砂利などを運ぶ丈夫なカゴ)で、担うてきてね、石を拾いだして、土を担うてきて、どっさり置いといて、水を入れて、藁を切って入れて。 藁を切って入れるの、つなぎでね。切り混ぜて、練って練って踏んで踏んで、練って。人も雇うてね、踏んでもろた。足で踏んで練らないかんけえ、機械で練るんじゃないけえ。終戦当時やったけん。終戦当時はなんでも人力、人がやらないかん。機械はあんまりありもうせだったし、お金もなかったね。
赤土って柔らかいんですか?
いや、柔らこうない。壁をツルグワで叩いて、石はのけて、あの時分一輪もなかったけえ、バイリョウという籠でにのうてきて。浅い籠ね。 土は、どうやって壁になるんですか?木かなにかに塗っていくんですか?
塗るのはね、左官さんを雇うた。本家の左官さんを。地元に左官さんがおったけん、その人に習うて。 土壁を練るのも、藁を切って入れる長さもぜんぶ、その練り塩梅もぜんぶ、その左官さんに習うて。その人に壁は塗ってもろうたんじゃけん。
壁を塗る前に、竹を割ったのを碁盤に組むの。竹を割ったの、縦にちゃんと大工さんが入れるようにしてあって、横にもちゃんと入れるようにしてあって、竹を割ったのをね、1センチ5ミリ、2センチばあの竹を割っちゃるのね。節をのけて割っちゃるの、それをこう碁盤に組んで、それを藁縄で、夜なべに藁縄を綯うちょいて、その藁縄で竹をずっと抑えていくの。横にも縦にも。縄を竹にノブス(??)の、そしたら土がひっつくで。竹イナガラ(だけなら?)ひっつかんでね。藁縄を竹に巻きつけていくの。ぜんぶ自分でやった。お金もないし。