Ableton Live + LaunchPad XでDJ
今回挑戦すること
DJコントローラーのデカさにうんざりしているので、なるべくコンパクトな機材でDJをやりたい。
Ableton LiveとLaunch Pad XのみでDJが出来ないものか。
Ableton LiveとLaunch Pad Xの組み合わせは非常に適しており(公式にサポートをうたっている)、さらにLiveでDJを行っている先人たちもいる。ならば出来ないはずがない。
ハードウェア
Ableton Liveが動くPC(今回はMacbook Air)
LaunchPad X
ZOOM AMS-24
DJをするにはフロアに流すMaster出力と、ヘッドフォンのみ流すCue出力が必要。そのため、最低4OUT(ステレオx2)のオーディオインターフェースが必要。執筆時点では4OUTのオーディオインターフェースとして最小最安だったので購入。
ルーティング
接続
PCに、LaunchPad XとZOOM AMS-24を接続。オーディオ出力(PHONEx2)からスピーカーに接続。PHONEx2はヘッドフォンアウトAと共通になっているので、モニターヘッドフォンはヘッドフォンアウトBに接続する。
Liveの設定
LIVEの環境設定>オーディオデバイス
入力・出力デバイスをZOOM AMS-24に設定。
ライブ中にマイクや他の楽器を使わないなら入力はNo DeviceでOK
出力設定を開きステレオ出力1/2、3/4両方が有効になるようにする。
設定>Record>排他でソロを外す。これで同時に2つ以上のCUEが可能になる。
設定>ワープ>デフォルトワープモードをComplexにする。こうしておかないと音質がガビガビになる。
設定>ディスプレイのカスタマイズ>ちょっと大きめの130程度にする。DJブースは暗くて見づらいので。
セッションビュー(トラックが縦長に並ぶビュー)を開く。
オーディオトラックを2つ用意して「DECK A」「DECK B」と名付ける。
Masterの出力先を1/2、Cutの出力先を3/4に設定。
ミキサーの右端にある小さいXボタンを押す。するとクロスフェーダーが現れる。
クロスフェーダーを右クリしてSlow Fadeに設定。設定によっては真ん中で音量が下がるのでこうする。
DECK AをA、DECKBをBに設定する。
左上のクオンタイズが1Barになっていることを確認する。
1Batにしておけば、つなぎタイミングの「直前1小節以内」にクリップの再生ボタンを押せばきれいにつながるはずである
拍ズレを考慮してクオンタイズを1/4にしておくのもアリだが、コントローラーのラグで若干タイミングが難しいかも
オーディオの配置、仕込み
オーディオクリップをブラウザからいくつかドラッグして「DECK Aに」配置する(いきなり両方に配置しないこと)
このときオーディオのワープが有効に、ワープモードがComplex Proになっていることを確認(重要)。例えばBeatなとにしてしまうとかなり音が悪くなり聞けたものではない。
表示されたテンポや拍が正確でない場合がある。
テンポと拍のズレはLiveでのDJでは致命的なので絶対に曲の最後まで確認して正確に合わせること。
拍が明確なタイミングでワープマーカーをひとつだけ打つ。歌ものであれば歌い始めのタイミングがおすすめ
ワープマーカーを打つときは波形欄をダブルクリックではなくワープマーカー欄にある半透明の▼を移動して設定する。(波形ダブルクリックだとビートからずれる)
そのマーカー以外の全てのワープマーカーを削除する。
波形範囲選択+DELで一度に消せる。
マーカーがひとつになったら、WARPボタンの下にあるテンポ欄に曲テンポを入力。グレーアウトして入力できない場合はWARPボタンを一旦オフにして再度オンにすると入力できるようになる。
打ち込み主体のポップスやクラブ・ミュージック等、テンポ変化がない場合曲の場合はこれで十分なはずだが、生演奏などでテンポにゆらぎがある場合は、曲全体が拍に合うまでワープマーカーを追加する必要がある。曲の先頭の方→最後の方→それらの中間地点→さらにそれらの中間地点…のように外から中心に向かって打っていくとズレにくい。しつこいようだがテンポと拍のズレは致命的なので曲全体が完全に合うまで繰り返す。
▶マーカーを移動して再生開始位置を設定する。以降、再生ボタンを押すとこのマーカー地点から始まる。
Option(Alt?)キーを押しながら範囲選択レーンをクリックすると一時的に再生カーソルを持ってこれる。これでサビの位置などを探りならやる。
Alt+Spaceで再生位置から直ちに再生する。
再生中、かつクオンタイズがなしの状態で再生カーソルを移動するとスクラブ再生のようなことができる(厳密には違うが)
次曲へのつなぎのエリアに来たら、ループマーカーをその範囲に移動しLoopボタンをオンにして必ずループを設定する。
START |<-- イントロ -->|▶再生開始マーカー(…曲…)|【<- ループ区間 ->】| 残り… |END
ループを設定しておくと曲がそれ以上進まなくなりつなぎやすいというのもあるが、一番の利点は「ループに突入するまでの時間が再生グリッドに表示されるようになる」というのが大きい。次の曲を再生するためにグリッドを移動してしまうと再生中の波形表示も切り替わってしまい見えなくなる。波形やマーカーを見ながら次の曲の再生タイミングをはかることはできない。のでこの残り時間表示だけが頼りになる。
以上をすべてのクリップに繰り返す。
DECK Aが一通り終わってから、DECK BにALT/OPTION+ドラッグしてコピーする。
今後、クリップになにか変更を加えたら必ずその隣のDECKにコピーすること。
テストラン
左上のマスターテンポを設定する。
クリップの▶ボタンを押すと音が流れる。
このとき、プロジェクト全体の再生ボタンもONになる。
●(REC)マークをオンにしてから開始すれば、一連のコントローラーを記録できる…はず
キュー(ヘッドフォン)に流したいときはCueボタンを押す。
テンポはマスターテンポに勝手に合わせられる。小節も合わせられる
クロスフェーダーをマウスで操作してデッキを切り替えられることも確認。
音の停止はデッキごとに行える。
もしDJプレイ中に拍ズレに気づいたら
テンポが合っていて、拍単位でズレているだけであれば、クオンタイズを1Barから1/4に切り替えることで、操作はシビアになるがなんとかきれいに繋げられる。
非常手段としては再生中のクリップのテンポ欄やワープマーカーをドラッグして無理やり合わせる。一瞬音が飛ぶが、以降が全部ずれる事を考えれば比較的軽症である。ただしワープマーカーが複数あるクリップだとこの方法でも難しい。
あるいはDECK側のズレ調整設定でもなんとかできる…かも
LaunchPadで操作
Launch Padの配置はこんな感じ
◇は空き
真ん中に縦方向に各デッキのボリュームフェーダーを左右対称に①②
その両隣に上からCUEボタン③、曲選択(上下)④、デッキの再生⑤、EQのローカット⑥、停止⑦
反対側にも配置
右はマスターフィルター操作⑧
左はクロスフェーダー操作。本当は横に配置したかったが無理っぽい⑨
下がデッキA、上がデッキB。
右端はテンポ調整ボタン(上2、上1、下1、下2)⑩
右上済はTAPボタン(テンポが狂った時の非常用)⑪
左上済は停止ボタン(どうにもならなくなった時の非常用)⑫
⑫⑨③①②③⑧⑪
◇⑨④①②④⑧◇
◇⑨④①②④⑧⑩
◇⑨⑤①②⑤⑧⑩
◇⑨◇①②◇⑧⑩
◇⑨⑥①②⑥⑧⑩
◇⑨◇①②◇⑧◇
◇⑨⑦①②⑦⑧◇
マスターフィルター(ローパス)操作
マスタートラックをダブルクリック
ブラウザからオーディオエフェクト>AutoFilterをダブルクリックして挿入。
フィルタのタイプローパスになってることを確認してFilterFreqをMIDIラーン。
幅も指定できる。上は最大の19.9kHzで良いが下げすぎると音が消えてしまうので下限を200くらいにしておこう
レゾナンスを60%程度にしておくとフィルター操作が目立つ。(MAXにしておけば普段は気にならない)
マスターリミッター
Dynamics>Limitterをマスターに挿す
Gain4dbくらい、Ceilling-1.0dbくらいにしておくと安心
Lookaheadは遅延を少しでも減らすために最短の1.5msにする。
各デッキのローカット
上記と同じような手順で今度はトラックに挿入する。
あらかじめ200のハイパスに設定しておきMIDIノートでONOFFするようにしたほうがよさげ
テンポチェンジ
マスターテンポをボタンで操作する。
フェーダーだと怪しげな挙動をするため、ボタン操作のほうが良い。
ボタンを押すとCCの一定の値が送信されるようにCCボタンで登録する。CCナンバーは好きに決めて
上から値は 68, 65, 63, 60。それぞれ64+4, 64+1, 64-1, 64-4の値である。
Live側では相対MIDIコントローラーで設定する。マニュアルにも説明がなくて謎すぎるが試した結果Bin Offsetに設定するのがいい感じ
非常用にTapを割り当てたいが、なぜか押す力加減で一時的にテンポが上がったり下がったりする。解除する方法はみあたらない。
クロスフェーダー
AbsoluteでCCを設定する。
のこり
のこりはNoteで登録して、ひたすらMIDIラーンさせる
オクターブ移動は必ず無効にしておくこと。
各ノートのCは避けたほうがいい。Launchpadの仕様か、Cにはなにもしなくても色がつく場合がある。
やってみた感想
仕込みが全て
テンポと拍を完全に合わせるのが第一条件。合わせてない曲、合わせられない曲は流せない。
アドリブ性(ライブ感)はかなり少ない
仕込んでない曲は流せない。
テンポと拍の調整は本番中には不可能。
スタート地点、つなぎ地点が完全に決まっている。
ジョグダイアルもないし、次の曲の頭出し操作は必要ないしできない。
よって事前に仕込んだマーカーを完全に信用してタイミングよく再生ボタンを押すのが本番中のDJのメインの仕事になる。
現場でやれることは
曲順を入れ替えられるかもしれない
途中でフィルターやEQいじれるかもしれない
CUEって使わない
CUEの本来の用途は、今デッキに入っている曲はどんな曲だったかの確認と、頭出し位置の確認なのだが
デッキには全曲がロード済である
曲順決まってるので確認する必要がない
頭出し位置は変えられないので確認する必要がない
よって、CUEは不要である。信じて再生ボタンを押すしかない。