📚ダーウィンの進化論はどこまで正しいのか?
20251217
第1章 進化とは何か
p30.生物のもつ遺伝情報(主にゲノム配列)に生じた変化が、世帯を経るにつれて、集団中に広がったり、減少したりすること、またそれに伴って、生物の性質が変化すること。
本書での生物進化の定義。利己的な遺伝子での遺伝子プールかな。
第2章 変異・多様性とは何か
2-1 突然変異はランダムなのか?
突然変異が起こる→自然選択で特定の変異が残る。
ある突然変異がよく起こるため、特定の変異が残るわけではない。
突然変異はランダムで、ある傾向が残るのは自然選択による。
適応的な突然変異はない、というのが一般的。
突然変異率は変化し得る。
個体数が多いほど、突然変異率は低い傾向に。
突然変異が多く起こる場合、生存に不利な変異もそれだけ起こるので、安定していれば低くなっていったほうがいい。
重要な遺伝子の突然変異率は低い。
低いものが淘汰により生き残る、と考えられていたが、そもそも重要な遺伝子は突然変異が生じにくい。
必須遺伝子では、有利になる突然変異が起こりやすくなっている。
が、ランダム性が否定されるものではない。
2-2 多様性は高ければいいってもんじゃない
遺伝的に異なるタイプは「それぞれの時、その時の自然の選択として、種を救ってきた」という説明は誤解。
遺伝的な違いは何らかの異なる側面で、それぞれに優れた面があるわけではない。
中立や有害なアレルが違いのほとんどをもたらしている。
多様性は種や集団にメリットがあるという説明も進化学的には誤り。
多様性は、平均適応度の最大化を阻止している。
遺伝的多様性が大きい=多様な種類のアレルがあるならば進化の機会は増加する。
平均適応度は低い。
が、自然選択が働くと高い適応度に貢献するアレルが頻度を上げるので、遺伝的多様性は減少する。
平均適応度が高くなる。
平均適応度が低下する程度を、遺伝的荷重と呼ぶ。
突然変異や移動、適応的な進化により、遺伝的荷重は生じる。
遺伝的多様性は、集団が新しい環境に遭遇したときに有利なアレルが含まれる可能性が高まるため維持される、わけではない。
1. 突然変異と遺伝的浮動のバランス
2. 突然変異と負の自然選択のバランス
3. 平衡選択
状況Aと状況Bがある
オスは状況Aに適応度の高い遺伝型Gを持っている
メスは状況Bに適応度の高い遺伝型Aを持っている
状況Aと状況Bを行き来する、あるいは同じ場所で状況Aと状況Bが繰り返される場合、子孫の持つGAという遺伝型が最も適応度が高くなり、残る
GGのみ、あるいはAAのみになると、他方はなくなっていくが、GAが最も適応度が高いので、つねにどちらも残り続ける
遺伝的多様性は、ほとんどが1や2で維持されていると考えられている。
3.は数%。
遺伝的多様性は、繁殖数が小さく繁殖体(親離れの大きさ)が大きいほど小さく、繁殖数が多く繁殖体が小さいほど大きい。
まだよくわかっていないが、おそらく現在の個体数と関係しているのではなく、その生物が経験した過去から現在に至る個体数変動を考慮した個体数に依存する、と考えられている。
環境変動により絶滅せず生き残るには、そのときの個体数が多くないと絶滅してしまう。それを何度も繰り返すことで、現在も生き残っているのは過去から現在までの個体数の和が大きいものと考えられる。
遺伝的多様性は、進化を促進するために獲得された、わけではない。
あくまでも突然変異と遺伝的浮動のバランス、突然変異と負の自然選択のバランス、平均選択の3つのメカニズムで維持されているだけのもの。
獲得されたわけではなく、進化の結果、そこに遺伝的多様性が存在する、というだけ。
2-3 受け継がれるのは遺伝子だけか?
エピジェネティク遺伝:環境の刺激などによりDNAなどに付加された「印」が次世代に伝えられる遺伝。
獲得形質の遺伝が生じることを示している。
ラマルクのとなえた、後天的に獲得した性質が遺伝して生物の適応進化を促す、という考えは否定されている。
遺伝子は、ゲノム配列の一部分。
進化は、遺伝子の部分であるかどうかに関係なく、ゲノム配列の変化によって生じる。
エピジェネティクとは、DNA配列の変化に依存せず遺伝する遺伝子制御情報のこと。
マウスでは、食料が少ない親の子は、耐糖能が変化するなと代謝異常の可能性が高まり、孫まで同様の傾向を示した。
エピジェネティクな変化は有益であるとは言えない。
エピジェネティクな変化は突然変異よりもかなり高い確率で起こるが、もとの状態に復帰する確率はさらに高い。
変化が累積的に起こり、大きくなることはない。
が、エピジェネティクな変化が起こったあと、実際にDNAが変化することがあり得る、と考えられる。
第3章 自然選択とは何か
3-1 種の保存のために生物は進化する?
個体数が増えすぎて資源が枯渇し、絶滅するのを防ぐために個体は自ら繁殖を抑制するように進化している、という考えは、現在の進化学では誤りとされている。
個体数が抑制される理由としてダーウィンは以下2つを挙げており、正しい説明。
増えると利用できる食物の量が減るため
気候などの環境要因による
現在の進化学での理解は、集団にとってプラスでも個体にとってマイナスである性質が集団に有利だからといって参加することは少ない。
理論的には可能であるが、条件を満たさないといけない。
種にとって有利な性質が進化するのは可能か。
そもそも、多くの研究者が同意できるような唯一の種の定義はない。
有利な性質が働く集団=種、とはならないため、種にとって有利な進化は生じない。
集団の絶滅リスクを低減する性質は、あくまで集団内での個体の性質が進化した結果生じたと考えられる。
3-2 生物は利己的な遺伝子に操られている?
ドーキンスがいう「利己的遺伝子」が生物進化を適切に理解するための比喩表現だと考えるのは誤り。
遺伝子が個体の表現型を進化させているわけではなく、表現型に同じように影響した遺伝子が結果的に残るだけ。
利他行動は、血縁集団間の選択において進化しうる。
小集団があり、それぞれ利己的行動と利他行動をする個体がいると、利他行動の個体が増える。
利己的行動の個体が多いと、数が減る。
利他行動の個体が多いと、互いに利他行動をし、減らない。
混じっていると、利己的行動の個体が増えるが、利己が増えたら減るので双方ともに減る。
小集団として想定されるのは、血縁関係の集団。血縁があれば、利己・利他が偏ったりするし、集団間で交配も起こる。
種の保存のための進化は生じない。
利己的遺伝因子というものも存在。
個体の生存には不利になるが、転移し、自らの遺伝子を増やす働きをするもの。個体の生存には不利なものの、自己を増加させることができるので打ち消しあう。
寄生生物と宿主、のような関係。
個体生存に多大に不利な場所に転移すると減少するために、わざとそこを避けるように進化していたりする。
一方で、転写先を活性化することもある。
自然選択は、個体、遺伝子、集団という異なるレベルで、それぞれの状況によって働く強さが相対的に違っている。
ドーキンス流の利己的遺伝子の見方は避けた方がいい。
3-3 生き残るためには常に参加しないといけない?
「生き残るのは変化できる者」と言うフレーズは参加の観点から見ると誤り。
生き残ろうとして変化していくものではなく、変化は進化的な結果であるから。
絶滅はランダムではなく、生息域というような性質については選択的。
第4章 大進化とは何か
4-1 進化=種の誕生か?
集団間で遺伝子やアレルの交流を妨げるような性質を「生殖隔離」と呼び、これが起こることで同じ起源の種が分かれてまた交わらなくなり、種分化することになる。
生殖隔離は、環境的な交配前生殖隔離と、交尾が可能でもその後生息しにくくなる交配後生殖隔離がある。
同じ生態的環境への適応であっても、生殖隔離が参加している場合がある。
生態的違いの進化を伴わない「非生態的種分化」。
生殖隔離の進化の主な要因は自然選択と考えられている。
その程度は、様々なレベルで存在。
4-2 大進化は小進化で説明できないのか?
ギャップがあるように見える、つまり大きな進化があったように見える場合であっても、変化の途中の生物が絶滅している場合も。
時間をかければ、小さな進化の積み重ねで大きな進化に。
キリンの中間型は存在した。
首を長くするに応じて、高い位置にある脳まで血液を送るための強い心臓、首を下げたときの血圧に耐える血管なども、同時に進化。
複雑形質としての眼には、4つの段階があったと考えられている。
4つのステップアップが必要であったが、これは別の機能で進化したものの利用という前適応による。
同じように別の役割を転用して、昆虫の翅やツノゼミのヘルメットは進化した。これは、遺伝子制御ネットワークの進化であると考えられている。
環境が激変するとき、普段の自然淘汰では生き残れないような変化が適応し、生き残ることがあったと考えられている。
遺伝子の倍数化は、大量絶滅期にうまく対処できたことから生き残ったことが示唆されている。
倍数化はは不利か有害であったと推測されるが、環境激変期には反対に有利に働いた、と。
環境激変期には、余分な遺伝子のコピーが維持され、多様化が促進される。環境が変わらないと、その環境に高度に適応するよう進化する。
環境変化の大きいと、大きな変化が起こった個体が頻度を増加させる可能性がある。