【Blog】『究極の鍛錬』(ジョフ・コルヴァン)
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努力に必要なもの-「究極の鍛錬」を読んで学んだこと-
どの分野にもすんごい人はいます。なぜその人は成果をあげられるのか。この疑問を考えたときに、ものすごい成果をあげる人たちを”才能”や”天才”という言葉で片付けるのは簡単です。納得した気になって「なぜ偉業を成し遂げることができるのか?」という疑問からいとも簡単に解放させてくれます。でもそれは、ただ単に思考停止に陥ってるだけではないでしょうか。
本書「究極の鍛錬」では、”才能”以外の方法で偉業の説明を行っています。偉業を成し遂げる方法こそが、”究極の鍛錬”と呼ばれるものです。
1、努力に勝るものなし
偉業の達成を”才能”で片付けてしまうのは、あまりに簡単で、またおもしろくないです。実際、ものすごい努力をして栄光を勝ち得た人に、「あいつは才能があるから」と言うと失礼ではないでしょうか。才能という言葉は努力の部分を覆い隠してしまいます。
本人も父親もタイガーがゴルフの天賦の才ををもって生まれてきたとは、一度も言い切ってはいない
一般には”天才”と呼ばれている方たちのこういった意見は、すごく説得力を持っています。ゴルフ界で最も有名なターガー・ウッズとタイガーを育てた父親のアールも、輝かしい成績の数々を「才能があったからでしょ」なんて言葉で片付けてほしくはないはずです。それはあまりにも失礼な見方です。
■ただ、やればいいいってもんじゃない
達人と素人の違いは特定の専門分野で一生上達するために、考え抜いた努力をどれだけ行ったかの違いなのである。 努力に勝るものはないと言っても、当たり前ですがただただ練習をこなせばいいってもんではありません。”上達するために考え抜いた努力”をし続ける必要があります。それこそが本書の主張で、”上達するために考え抜いた努力をし続けることこそが”「究極の鍛錬」です。
2、努力の方法
■フィードバック
結果に関し役に立つフィードバックのない訓練は価値がない。
と言ってのけるほど、フィードバックの大切さは繰り返し述べられます。フィードバックを得るためには、訓練を記録することが必要です。記録から訓練の成果を知り、上達の度合いを確かめながら進んでいく。フィードバックは上達の度合いを知るためともう一つ役割があります。 訓練は好きなだけやってもかまわないが、訓練の成果がわからなければ、次の二つのことが起こるとカーは言っている。一つはけっして上達しないこと、もう一つは注意深く練習をしなくなってしまうことだ。
そう、注意深く練習をし続けるためにもフィードバックは必要なんです。
■自動化の回避
身につけようとしている技術や能力がもう少しで手の届くところにあることを指す言葉として”ラーニングゾーン”があります。自分のラーニングゾーンを知るためにもフィードバックは大切な役割を果たします。ラーニングゾーンで自分に適度に負荷をかけ続けることが、上達を呼び込みます。
自動的にやってしまうことを避ける能力
訓練をただ惰性で行ってしまうことを避け、負荷をかけ続ける。自動的にやってしまえるということは、負荷があまりかかっていない証拠です。ラーニングゾーンにとどまって練習をしていかなければ、上達はあり得ません。
■つらい
正しい努力は”つらい”というのも外せないポイントとして述べられます。自分の”できない”ことと向き合い、そこを徹底的に訓練して改善していく。不得手なことにしつこく取り組む。自分に負荷をかけて繰り返し繰り返し練習する。それは精神的にも肉体的にもつらいことです。
つらいことを続けるためには、「情熱」の力を借りる必要があります。
3、情熱をもつために
例えば他の人より数学がちょこっと好きな人がいたとします。好きなので自ら学び、数学が少しできるようになる。クラスメートの中でも数学が得意なやつとして認められ、満足感を得ます。満足感がさらにその人を数学を好きにさせ、より熱心に学ぶようになる。こんなとてもいいサイクルが、実際に起こり得ます。はじめのちょっとした優位性がさらに大きな優位性につながっていくのです。周りよりも一歩でも抜け出すことができている分野で勝負するということは、とても意味のあることかもしれません。
また、こんな事実も紹介されています。
もっとも素晴らしい業績を上げる者たちは、研究者が自己有能感(自分はできるのだという感覚)と呼ぶ強烈な信念を持って仕事に臨んでおり、同時に努力は報われるという強い信念を持っている
努力を信じ、”よくやった自分”とか”なかなかできてるやん、自分”と自分で自分をほめることも、情熱を生むことには大きな役割をはたしてくれるということでしょう。
おわりに
「成果をあげるために必要なのは才能じゃない、努力だ」と考えることは、つまりは「努力をしなければ成功はつかめない」ということも言っています。しかもその努力はつらく、生半可なものではありません。本書は”努力は報われる”という希望を持たせてくれると同時に、”努力しなけりゃなんにも成せない”という厳しい現実も突きつけてくれています。やるやらないは自分次第ですが、せっかくの人生なのですし、めいっぱいやってみるのがいいんではないかなと思ったりします。
では、お読みいただきありがとうございました。