子宮内膜症性卵巣囊胞(チョコレート囊胞)
【問診】
不妊を主訴
月経周期は29日,整(→排卵性の周期と考えられ,卵巣機能不全などは除外)
月経周期は38〜90日,不整(→稀発月経のため,排卵障害を疑う)
【検査】
経腟超音波検査は,子宮-付属器の大きさや性状を知るために,最も非侵襲的で有用(→すりガラス様
内診では子宮は正常(→子宮腺筋症と子宮筋腫は除外)
有痛性で腫大した両側付属器を触知(→増大中の卵管・卵巣)
直腸指診は,子宮頸癌の臨床進行期を決定するために必要な検査であるが,子宮-付属器の癒着や痛みの程度を知るため
Douglas窩に有痛性の硬結を触知(→子宮内膜症による癒着を示唆、深部子宮内膜症)
骨盤部MRIは,特に卵巣腫瘍の性状を判別するために最も有用な画像検査である.子宮筋腫と子宮腺筋症,子宮内膜症の鑑別にも有用
左卵巣は鵞卵大
子宮卵管造影検査で異常はない
【治療】
低用量ピル:月経痛の緩和作用がある.
GnRHアゴニスト:偽閉経療法を行うことで内膜症病変を退縮させる.本症例は今すぐの挙児希望ではなく,将来の挙児希望であり,服薬を中止すれば妊娠は可能である.
黄体ホルモン療法:内膜の増殖を抑え,主に月経痛を緩和する.