音韻論 中間声門閉鎖と声門閉鎖交替
中間声門閉鎖は, 母音と後続の摩擦音の間に入る声門閉鎖で, 特定の環境下に現れます.
基本形では, 弱音節が続かない2モーラ以上のコーダに[s]か[t͡s]が入っている音節に入ります.
中間声門閉鎖は活用や曲用によって消えたり現れたりします.
これを声門閉鎖交替と呼びます.
gejst [keʔst͡s.] (精神) など, 中間声門閉鎖の位置に綴り字の声門閉鎖がある場合も, 声門閉鎖交替を受けます. table:声門閉鎖交替
主格 velt [ʋeʔɬt͡s.] kast [kʰaʔst͡s.] 属格 velts [ʋeʔɬs.] kasts [kʰas.] 与格 velt' [ʋeɬt͡s.] kast' [kʰaʔs.]* 対格 veltst [ʋeɬst͡s.] kastst [kʰast͡s.] 声門閉鎖交替では, コーダの[s]か[t͡s]が音素的に重複したときに中間声門閉鎖が消えます.
* 与格で-st'が現れた時には, tの発音が消えます(子音否定).