個人がある目的のために感情を作り出し、それを使う
私たちはみんなフィクションとして「個人的な枠組み」を持っていて、それによってまわりの人や世界を判断している。
私的感覚とは
その人が正しいと思っていること、良いと思っていること、美しいと思っていることの集合。
自分にとっては当たり前で、疑うことはない。
そのため、意識の下にしまわれて表には出てこない。
自分にとっては正しいので、なかなか再検討されない。
仮想的目標(Fictional Goal)
「相手にはこうしてほしい」「状況はこうなるべきだ」という考え
個人が私的感覚にもとづいて、それぞれの状況における仮想的目標をつくり上げる。
そして、その目標に向かって自分の行動の方向づけをしていく。
ただし、それが周りの人と共有されない限り、自分の中のフィクションにすぎない。
感情とは、仮想的目標を達成するための対処行動である。
感情には明確な目標と方向性がある。
マイナスの感情は、自分が行動するきっかけとして自分自身がつくり出しているもの。仮想的目標の危機を知らせ、自分を特定の行動に方向づける。
マイナスの感情を感じたら、感情が静まるのを待ってから、相手に異議申し立てをしよう。
問題が解決すれば1分以内にイライラは収まる。
自分の仮想的目標をもう一度点検して、相手に伝えるべきことがあると思えば伝える。
仮想的目標は私的感覚にもとづいて作られるが、私的感覚はふだんなかなか再検討されない。
しかし、自分の私的感覚を意識し、再検討していかなければ、 私的感覚から出てくる多くの仮想的目標はそのたびに裏切られることになる。そして、そのたびにマイナスの感情を使わなくてはならない。
私的感覚を再検討するためには、自分の私的感覚が妥当か判断する必要がある。
人と話し合うこと、それが唯一の方法。
相手と話してみると、自分とは違う意見や違う価値観、違うものの見方を発見することになる。これが相手の私的感覚の表れ。
自分の私的感覚を言葉にし、相手の私的感覚も言葉にされたときに、初めてそれぞれの違いがはっきりわかる。
おおよそ人類が言葉を必要としたのはこのためと言ってもいい。
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お互いの私的感覚を語り合うと、共通点も発見することができる。
これが共通感覚。
受け入れられない感覚ももちろん多くある。相手と自分の私的感覚はそもそも違うものなのだからそれは目くじらを立ててもしかたがない。
共通感覚にもとづき目標の一致ができない場合、相手は抵抗行動に出る。
自分の目標が無視されていると感じる場合には、相手を信頼できない。
共通感覚を発見し、目標を一致させることができると確認できると、信頼関係を作ることができる。