不確かな時間感覚
キーボードショートカットについて
ブルース・トグナッツィーニ(Tog)がアップルに勤務していたとき、沢山の実験を行った結果、常にキーボードショートカットはマウス利用よりも遅いということが判明したそうです。
「そんな馬鹿な! 複雑なマウス操作がキーボード操作より早いわけがない!」と思う人は多いでしょうし、私もそう思います。また、実験に参加したユーザー自身もキーボード操作の方が速かったと感じていたそうですが、計測結果を見ると常にマウス操作の方が速く、いくら実験してもこの結果は変わらなかったということです。
Togの考察によれば、ショートカットキーの利用には高次レベルの思考が必要になっており、そのときユーザーは一時的に記憶喪失になっている(!)ため、短い時間で操作できたように錯覚してしまうのだろうということでした。
(増井俊之著、『スマホに満足してますか? ユーザインタフェースの心理学』光文社文庫、2015年)
これは実際に計測してみるとちゃんと再現します。
ショートカットキーが素早いと言えるのは、マウスを使わないでおいたほうがいい場合(ドラッグ中や文字入力中など)や、連打で作業したい場合だけです。
ショートカットキーで効率最善を謳った記事が多くありますが、そのほとんどに科学的根拠はありません。