アフォーダンス
生態心理学、生態光学上の概念。デザイン上のアフォーダンスとは異なる。
残念ながらアフォーダンス - Wikipediaでは、用語の定義を生態心理学で、解説をすべてデザイン論で行っており誤読を引き起こしている。用法の項で本来の用法および誤用として解説されているのはいずれもデザイン論上言われている2つの用法についでであり、生態心理学には関係がない。生態心理学とデザインの2つの分野での意味を混乱させるデザインアフォーダンス上の失敗である。 本来アフォーダンスという概念は、意味が脳の中にはないことや、感覚器官から入ってくることとまわりにあることを知ることとはあまり関係がないこと、身体とまわりの世界には境がないこと、「自己」はどこにも定まっておらず、世界の中に刻々とあらわれるものだということ、個体が多数の身体を持っていること、遺伝か環境かという議論が、人の発達を説明できないこと、個体がしていることには正しいこともまちがいもないこと、人が生きつづける理由は人の中にではなく、外にあることなどを明らかにしようとするために導入された。このような議論が奇妙に聞こえるのは、生態心理学や生態光学がそもそも独我論と客観性への挑戦だからだ。アフォーダンスに基づくこれらの心理学を、生態現実主義と呼ぶ。現実は動物の行為によってあらわれる。行為から見えてくる現実が、我々が現実についてすでに何かを知っているという自信をくつがえしてくれる。