マウスとラットのUSVsの違い
おかべさんと書いた日本語総説で、マウスとラットのUSVsの基本的な特徴を記載し、マウスとラットのUSVsの違いについても少し記載しました。
大きな違いとしては、
ラットでは嫌悪の表出としての 22-kHz call が知られているが、マウスでは嫌悪の表出としてのUSVsは知られていない(マウスの嫌悪は可聴域の声で出す)
上と同じことを言い換えているだけですが、ラットでは声の高さで快(50-kHz call)と不快(22-kHz call)の表出の仕方を変えているが、マウスにはそのような "使い分け" が見られない(声の高さは遺伝系統ごとに違うので、おそらく遺伝的な特徴)
相手がいない状態ではマウスはUSVを示さない(1匹ではあんまり鳴かない)
Ratでは麻薬のアンフェタミンを投与して中毒状態にしたり、その状態でアンフェタミンを与えなくするとUSVsを出しますが、マウスではそれが見られないということも報告されています。
Serra, M., Marongiu, J., & Simola, N. (2021). Lack of drug- and cue-stimulated emissions of ultrasonic vocalizations in C57BL/6J mice repeatedly treated with amphetamine. Neuroscience letters, 749, 135733. https://doi.org/10.1016/j.neulet.2021.135733 その他、ラットだとランニングホイールで走らせると1人でもUSVsを出すことも知られている。