B&Bの目指すもの―対談・内沼晋太郎氏
p.147~176
「B&B」の開店まで
便利に読めるんだったら読めるんだったらどっちらでもいい
日常の中に本があることはすごく素敵なこと
いい本屋はいっぱいあるけど、街の、普通の私鉄駅前とかにはなかなかない
日常生活の中で普通に通勤、通学、買い物の行き帰りとかにs行ける本屋があるといいな
街の本屋さんできちんと成り立つモデルというのを作る
下北沢という場所を選んだ理由
私鉄沿線をちょっとずつ調べてみたら、下北沢の南口、駅から徒歩1分という場所を見つけた
本屋は毎日商品がどんどん変わっていく場所だから、運営のために毎日その場所へ行かなければならない
職場や家の行動範囲内、よくいる場所の中でやる必要があった
飲み物を出す予定だったから飲食設備があるところを選んだ
新規参入がまったくない書店業界
本の仕入れは、取次会社を通すか、出版社と直接取り引きをするか
結果的に、取次会社を選ぶ
通常の書店と同じなわけで、普通のやり方で、街の小型店舗をきちんと成り立たせることができたらいいなと。
新刊書店の新規参入は全然ない
閉店になる情報を見ると、街の本屋さんが多い
本屋をやっても儲からないとなった瞬間に新規参入が全然なくなってしまった
さらに、初期費用の問題もあって、ハードルがある
出版社と直接取り引きでやるとか、古本も交ぜてやるとか、やろうと思えばできるわけだけど、著者が思っている街の本屋を作るということはちょっと違ったみたい
取次会社と新規取引をするためにプレゼンをしても、「そんな小さい街の本屋、今始めても儲からないよ」と言われてしまったので、メリットあることを強調
新しい街の本屋で、そのために毎日イベントをやって、ビールも出して、家具も売る
街の本屋をある種のメディアとしてとらえる試みから得られる知見は、取次会社/本屋の未来について考えるにあたって生かしてもらえるはず
「棚」へのこだわり
書店部分面積は25坪で6000冊ぐらいの規模
おさえるべきジャンルをおき、新刊書がなかなか入らない条件の中で、既刊本はきちんと売っていく
書棚がをみて、それぞれの人がそこに何らかの引っ掛かりがある多面体になっている書棚を作る
一人で書棚を作らず、数人が起きたい本をそれぞれの置き合う感じ
自分らが「この本はいいぞ」と思う本をひたすら毎日チェックして、仕入れて売っている
無目的で来た人にはなにか引っかかる
何かが見つ蹴られる場所にしたい
「これ読んでもいいかも」と思える本が置いてある場所にしたいのが究極の目的
何か面白いものが欲しいみたいないま自分で決まっているわけではないが、あそこに行けばなにか面白いものがあるという人たちに来てもらって、あれもこれもほしいとなってもらうのが理想
ビールとイベント
ビールを売って、イベントを開催しているが、カフェやイベントやさんをやりたいわけではない
それがあったほうが本を楽しく選べるだろう
単に本を買うという行為がより深みのある体験になるかも知れない
著者にはビールを飲んで、その後に本屋に行ってついついいろんな本を買ってしまうことが単純に楽しかったみたい
ビールを売ることで得られる利益率がよく、そこから出る利益のことをあkンが得たら、こぼす事によるロストの差し引きで考えなければならない
ビールを出していることがフックになって、おもしろがって来てくれる人もいて、ロスを上回っている
ビール販売も、イベント開催もいずれにしろ、新刊書をいかにうるかが目的になっている
本を買うという行為をより楽しくすることが、ビジネスとしての制度をあげる
イベントでは作れるコミュニティの関係性
- 作家と読者の関係
- 編集者と読者の関係
- 読者同士の関係
まるで、リアルソーシャルメディア
定期的にイベントを開いたり、イベントの予定を公開することで来店のリテンションを維持、増加させている
来てくれるお客さんの層/イベントのテーマによる客層/来てくれる頻度などを指標にグループ化できる
毎日やっている、いつ来てもなにかやっているみたいなことがすごく大事
本屋は日常の生活の中で、自分の知らないものと偶然出会える場所
イベントもその一環
本屋の場合、永遠に終わらない
毎日が暫定一位をつくり続ける仕事
お客さんも変わっていく
変わらない味を提供する飲食店のように、全体としては変わらない味としてあそこに行くと、いつもこういう面白さがあるは持ち続けていく
「動的平衡」本屋編
違う部品が次々に補充されていって、本屋という筐体は変わらないけれど、中の細胞はどんどん変わっていく
いろんな本があるなか、仮に同じものがあっても、その人の来るときの気分とかによって見え方が変わる
棚にある本がちょっとだけしか変わってないだけど、全然違うものが目に入るような棚作りを絶えずやっていく
狭い中にどれだけ広い世界を作るかが本屋ではできる様々なことについての本があって、本同士にどういうジャンプをするか、つながりをつくることができる
「本離れ」が叫ばれる中で
本の読み方はみんな同じではない
自分で選んで、ある考え方/世界を取り入れて、自分で自分を編集していくことができる
どんな本を読むか、この本を読んだ後に、次にどんな本を読むかということによって、自分にしかないなにか組み合わせを作れる
検索、パーソナライズドメディアは勝手に入ってくる情報というのは、ある程度自分がフィルターしているから、みんなと全然違うものにあまりならないし、深さもそれほどない
自分で本を選んで読み、次の本を選んで読むみたいな、その世界を深く知ることをずっと繰り返していくと、自分にしかない知識とか、経験、疑似体験した経験などが積み重なっていく
仕事の現場では読書家が多いが、そういう読書する人が減っているからこそ、地道にやればスターになれるみたいなところはある
そもそもみんな知的好奇心はある
それに何が答えているかの違いはある
「本屋はどこも一緒だよね」となんとなく思ってしまうような人たちに、「なんかあそこ、面白そう」と思って来たら、いろいろ買ってしまうみたいな店を作る
本屋に行くと、世界の広さがわかる
全然興味がない店に会えて行ってみたり、本屋中を散歩したりするのがいい
本屋をぐるぐる回っているだけで意図せず色々つかめる
行くと得するとか損するとかの問題ではなく、「楽しい」
ちょっと旅に出て、世界と繋がれる場所
役に立つだけでなく、感覚的に楽しい
狭いなか、何か予期せぬ経験といろいろな物がある空間
「おもしろいから来い」
だんだん世の中に「役に立つ、立たない」みたいな文脈で考える人がすごく増えている
そうでなくてもいい場所が日常生活の中にちょっとあるというのはいい
役に立つのはインテーネットで検索して答えが出てくることに近い
リアル本屋ではQ&Aの、Q自体がいっぱいある場所/Qを探す場所という概念
Qがないと何のために生きていくのかわからない
収入が増えたして、「そのお金をどうやって使うの?」というQに答えられない
新しい疑問が生まれる場所として本屋はいいかも知れない
生活圏内にこういう場所があるのに使わないのはもったいない
そこに行けば、偶然知りたかったことに出会えるかもしれない