統計による差別に基づいた近代国民国家の統治
2022-01-30yuiseki.icon
前提
言いたいこと
一方で、現代では統計が偏見や差別を解消するために活かされる場面があるのも事実である
なぜそう考えているのか
統計とは、社会のあるがままのすべてを連続的(=アナログ)に歪み無く正確に映し出すための道具ではなく、ランダムに抽出したサンプルから特定の目的に基づいて属性を離散的(=デジタル)に振り分けるための道具である どの次元を選び、どの程度までの解像度にするのかは、特定の主観的目的に基づいている
近代国家では、各種政策を行うために現在人口の確認、将来人口の推測、国内の労働力の把握、国民の教育状況などを知る必要があるという認識が広まっていった
年齢と、死亡数と、性別を男女に二分して計測することで、将来における国家の人口と労働力の変動を予測可能になる
日本において明治時代になって戸籍という概念が導入されたのはこのような近代的な国家統治のためであった 「性別:その他」だったり「性指向:同性」という人間は、人口変動に大きな影響をもたらさないので、国勢調査においては無視してよかった いまでも無視されている
国民国家における主権は国民にある
よって国民も戦争に参加することがあたりまえになった
備蓄した戦力だけではなく、戦争の最中にもどんどん武器を製造し前線に送り込む能力で勝敗が左右された
よって、国民国家にとって、労働人口の増加は極めて深刻な課題だった
このような背景から、近代の国民国家においてはマイノリティの存在は重要でもなかったし積極的に無視されていた ただし、人口をコントロールすることにはいまだに強く主眼が置かれている
国家の統治のための枠組みが、人々の倫理や規範にまで浸透している。統治大成功 近代とは対象的に、現代の国家はマイノリティを無視できなくなりつつあり、マイノリティの存在に日を当てるために統計が使われるようになってきている
しかし、統計の本質は最初に述べたように、社会を単純化するための道具であり、社会のあるがままのすべてを複雑なまま伝えるためには、何らかの工夫が必要であると考える
他の国民国家との厳しい競争をいまだに前提としていて、それに寄与しようとし、寄与しない・できない人間を軽視し、排除しようとしている
保守主義の背景には、国家の繁栄と他国の打倒という目的のために、統計に基づいて形成された、合理的に単純化された社会像がある
参考文献