社会問題とは何か
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社会問題とは、客観的に有害な状態というよりは、「社会の状態に対する関心を喚起する努力」であり、その努力の結果、社会問題が構築される。このように考えるのが、社会問題の構築主義である。
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社会問題の構築主義は、「いかにして、なぜ、特定の状態が、社会問題として構築されるのか」と問いかける。そのうえで、貧困などのメジャーな社会問題にかぎらず、UFOによる誘拐といったマイナーな問題も含めて、それらが、「なぜ、いかにして、特定の時期に、特定の場所で、興味関心がもたれる話題として現れたのか。なぜ人びとはある状態に対して、なすべきことを決定するのか。いかにして人びとは何をすべきかを決定するのか」を解き明かそうとする
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このような視点を取ることにより、社会問題の構築主義は、ミシェル・フーコー以降の言説分析、政治学(政治過程論)、法学、行政学、社会運動論などと緩やかな連携を取りながら、経験的な社会科学の方法論として発展することが期待できる。もちろん研究者だけでなく、社会問題の構築をこれから実践しようとする当事者、活動家、政策担当者にとっても、どのようなクレイムが効果的で、どのクレイムが失敗に終わるかを学ぶための有効な情報を得ることができる。社会問題クレイムの受け手である市民や庶民にとっても、あらゆるクレイムを批判的に考えるためのツールになりうることはいうまでもない。