記憶の盆おどり
実話だったら、著者はなかなかクズいなと思いつつ。
「記憶が抜け落ちる」というのが効果的に使われていて、他の記憶をなくすことで「覚えていること」を浮かび上がらせて、それによって不気味さを演出している。
作家の「私」は昨年の暮れに酒を断ち、もうすぐ一年になる。積年の大酒がたたって、記憶が飛んでしまうようになったために、やめたのだ。それでもなお、記憶がすっぽり抜け落ちることがある。そんな秋の頃、「私」の自宅を謎めいた美女が訪ねてくる……。洗練された文章が読む者を酔い心地にする幻想綺譚。
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