過程を学ぶということ
高校までの勉強は、「知識を伝える」ことに力点がおかれている。小学校・中学校・高校までの先生は、教員採用試験という試験を受けたうえで教壇に立つ〈発達段階に応じて勉強を教えるプロ〉である。
そして、高校までの先生との最大の違いは、大学での講義担当者の多くは〈研究しながら教育するプロ〉、つまり研究者であることだ。
同上 p.4
(前略)大学は〈未知の事柄にアプローチするための下準備〉をするための過程である。それゆえ、 勉強を教えるプロではなく、研究のプロである研究者が教えている。
同上 p.4
rashita.icon知識を学ぶだけでなく、いかに知識を得るのか、いかに知識を作り出すのか(≒研究)ということについても学ぶ場所。
だからこそ、過程が重要になってくる。
そこで、大学での学び方は、先人たちが前提としてきた事柄や、確かめてきた体系を覚えつつ、思考を追体験しながら考えていくことが必要になる。これは、単に講義で話を聴くだけでは身につかない。
同上 P.10
上記のような学び方は、法学を学ぶもの、いや大学生全般に限らず、人が何かを学んでいく上でもっとも大切にしたい姿勢でもある。でもって、そのような姿勢は、ほとんどの学問・分野において通じる「メタ学び方」だと言えるだろう。 ビジネス書の読み方だって、同じだ。
テクニックをたくさん知っていること以上に、書き手がいかにしてそのテクニックの開発に至ったのかという過程(≒思考の流れ)を知っておく方がはるかに有益である。合わせて言えば、どんな困難にぶつかり、どんな失敗をしてきたのかという情報まで合わせて提示されていれば、もう垂涎ものだ。