なぜヒトは学ぶのか 安藤寿康
なぜヒトは学ぶのか 安藤寿康
教育を生物学的に考える
190301
選んだ理由:LCにて、目に止まったため。教育の本質を見つめ直したいと思った。
ヒトは教育されないと生きていないように出来ている。
人間は「教育的動物」である
学習とはそれまで持たなかった運動パターンや知識を新たにし、忘れずに持ち続け、必要なときにそれを使えるようにすること
情報は、外部から参照して使うレンタル製品のようなもの
知識は、自分の中に留められている、生き抜くために活用できるもの
世の中には無数の知識が活用されている
知識によって他者と関わり続けている
情報ではなく、知識を身につけさせるのが理想的な教育
個体学習
その個体が独自に行う学習
社会学習
他の個体から習う学習
結局のところ、本当に身になるのは「個体学習」だけ。
自分で試行錯誤した結果が、知識として身につく
共同学習
集団での狩り、
模倣学習
行動を意味を理解せず真似すること
チンパンジーは教える能力がない
人間にとって教育とは何か
学習者が、教育者の行動によってより多くのことを学べることが教育である
ミーアキャット、ランニングアリも教育する生き物である。
学校が成立したのは18世紀、教育による学習は生物学的には成り立ちにくいものである。
教える心の働きと、教わる心の働きは、共に人の進化により両方備わっている
教育の段階
行動としての教育
身振り、手ぶりで行う教育。その場限りの場当たり的なもの。
習慣としての教育
組織的、計画的に実施する教育。直接的な行動とは切り離し、教育するために機会を設ける。
制度としての教育
国の制度に組み込まれた教育。文化が発展してくると成立する
狩猟採集民は教育しない。子供に積極的に知識を与えようとせず、子供たちは遊びの中で様々なことを学んでいく。
これが人間にとって自然な教育である。
現在の教育はWIRED(Western、industrialized, Rich, Educated, Democratic)な教育である,という説がある
ピグミーと呼ばれる狩猟採集民族では、習慣としての教育がない。
日本の古代の石器加工、放射状の作業場
https://gyazo.com/f94f3f0d0f3eb9ea5dcbd1b8b4f0ef8f
p.112
人間において、老人は、生物としてヒトが生き残るための欠くことのできない「資源」であり、遺伝子の伝達という使命を全うしてもなおかつ、知識と知恵を伝えるという重要な役割を果たすことを、生物学的な使命として授けられた
タバコ、アルコール、麻薬などの物質依存は、環境による影響の度合い大きい
家庭の混沌ぶりが子供への知能に影響を与える
経済水準の低い家庭のほうが、秩序だっており整理整頓されていることが多い
p.170 人間はいかなる遺伝的差異があろうとも平等でなくてはならない
学生一人ひとりの個性(遺伝的特性)に合わせた、長所を伸ばす教育
各自が能力に合わせて、知識を伸ばす
遺伝的な影響は変えられないため、全力で学習環境を良くしていく必要がある
作動記憶と長期記憶
脳の役割は、知識を使って知識を生み出すこと。
長期記憶を集めて調理して、作動記憶を作り出す、料理のようなイメージ
結晶性知能
長期記憶を使って物事を考える働き
ベテランのノウハウなど
その人が人生で本当に使う結晶性知能をどれだけ持っているかが重要
ファクトフルネスのように、ジーンフルネスといった、遺伝的要因の影響度合いを適切に理解することが必要かもしれない