『「目標」の研究』と『アウトライン・プロセッシングLIFE』
両者の本に共通しているのは、
目標の階層性
自己啓発的メッセージとの距離感
であろう。でもって、この二つは関係している。
多くの目標設定が持つ問題は、そのzoom喚起性にある。目標そのものにフォーカスしてしまい、なぜそれをしているのかを考えなくしてしまう、ということだ。むろん、いくつかの局面においてそういう思考が発生しない方が目標達成に役立つことは多い。軍人が、「自分は何のために人を殺しているのだろうか」と考え始めれば機能不全となる。それは極端な例にしても、ある種「機械的に手を動かすこと」(≒ひたすらにタスクを実行していくこと)が、目標達成に求められることは多い。そうしたものの比率が多くなれば、どこかで危うい面が出てくる。
自己啓発的メッセージが持つ危うさも同種のものではあるのだが、かといってそれをバッサリ切り捨てればよい、というものでもない。なぜなら、それはたしかに人生の一部に根を張っているからだ。人によってその根の大きさは違うかもしれないが、やっぱりそれはそこにあるのだ。だからこそ、そういう本がときどきベストセラーになったりする。少年がヒーローに憧れるように、人生にはどこかしら自己啓発的なものが入り込んでくるし、それが適量である限りはそう悪いことにはならない。
だから、一切合切自己啓発的なものを漂白してコンテンツを作ればよい、というものではない。ある程度の距離感を持って、扱う必要があるように思う。その辺の距離感の作り方が、二つの本で近しいところかと感じた。rashita.icon