ハンナ・アレント
講談社現代新書 牧野雅彦
2023/03/21
はじめに 未来の「全体主義」に抗うために
「運動」としての全体主義
全体主義は再来するか?
1 反ユダヤ主義の起源
ナチスの迫害を逃れて
ユダヤ人とは何か
国民国家の解体から生まれた反ユダヤ主義
対立を煽ったドレフュス事件
2 「大衆」の登場
国民国家解体の原動力としての帝国主義
ブーメラン効果 植民地での収奪が本国に跳ね返る
分断された人間の集積としての「大衆」
丸裸にされた人間 法的権利の剥奪
3 全体主義の構造
「モブ」とエリートの役割
「世界」のリアリティの喪失
全体主義の構造
「嘘と軽蔑」のヒエラルキー
指導者の役割
テロル 内なる敵の排除
「潜在的な敵」の摘発
排除の基準は任意に変更できる
「慈悲による死」
秘密警察、そして相互監視の地獄
4 全体主義が破壊するもの
人間関係の網の目としての「世界」
「公的空間」「私的空間」に区別がなくなっていく
判断力の基礎となる共通感覚
人が善悪を判断できなくなるとき
論理による強制 イデオロギーの変容
全体主義の支配に抗するための「行為」と「空間」
5 抵抗の拠り所としての「事実」
陰謀が「真実」に見えるとき
「共通世界」のリアリティを保つには
スモレンスク機密文書が示すもの
事実の「完璧な抹消」は不可能
真理を認めないシニシズム(冷笑主義)
自分の拠り所がわからなくなる恐ろしさ
6 「事実の真理」を守り抜く
「事実」の弱点
政治的思考の特質
「不都合な事実」を語ること
政治と真理の対立
ジャーナリズムの役割
アカデミズムの役割
法則から外れた個体の行動=行為こそが重要
行為に意味が与えられるとき
物語による「現実との和解」
おわりに 希望を語り継ぐこと
ユダヤ人を助けて処刑されたドイツ人兵士
あなたの行為から新しい何かが生まれるかもしれない
全体主義の可能性を取り除く
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あとがき