人間が出す価値は現実世界で物事を実行してフィードバックを得ることに移る
要約:
情報世界での作業はAIに任せたりAIで自分の能力を拡張していき、人間は現実世界でリスクをとり、自ら体を動かして新規情報(フィードバック)を得て、その情報を再び情報世界に戻していく。
このフィードバックループを高速かつ深く回すことが、今後の人間の価値創造の源泉になる。
本文:
情報世界における抽象的思考と、現実世界における具体的行動のフィードバックループ
色々な活動は「情報世界」と「現実世界」という二つの層のループで成り立っている
「情報世界」:知的生産、方針決定、計画立案、設計など、頭の中やコンピュータ/AI上で完結する抽象的思考や情報処理の領域。
「現実世界」:観察、実験、行動、ものづくり、リスクテイクなど、物理空間で実際の手や身体を動かし、不可逆的な変化を引き起こす行為の領域。
ラベルはなんでもいいんだけど、まあこの二つのループはあると思うblu3mo.icon
情報処理作業のコモディティ化:
LLMやその他のAIの進展によって、情報世界で行われる知的作業(言語的思考、論理的推論、アイデア生成、プランニングなど)は、ほぼ誰でも容易に高いレベルで利用可能になる可能性がある(コモディティ化)。
つまり、アイデアや設計、計画といった「情報処理的知的生産」は、AIエージェントに任せたり、AIによって人間の能力を拡張するべき。
人間の価値がどこで発揮されるのか:
こうした状況下では、ただ「言語や理論を捏ね回す」だけの人間は相対的な価値を失う。なぜなら、それはAIがより安価で高速かつスケール可能に行える領域だから。
代わりに、人間が価値を生み出す場は、情報世界(AIが得意とする領域)から現実世界へと橋をかけることにある。
つまり、「考えたことを現実世界で試す」「実際に手を動かして観察や実行を行い、結果をフィードバックする」という、人間が自ら動いてリスクをとり、「現実ならではの非対称的な情報」を獲得していく部分が重要になる。
知的作業と現実実践のフィードバックループ:
例として、「特定の店のラーメン(『龍門爆』の麺)を再現するために、AIと人間がレシピを議論し、人間が実際にキッチンで試作し、その結果を再びAIにフィードバックする」といったループが挙げられている。
このプロセスは、
AIが設計・アイデアを支援する(情報世界)
人間が実際に行動(料理)して結果を得る(現実世界)
得られたフィードバックをまたAIに渡し、次のアイデアを練る
という往復で価値を高める。
このサイクルによって、AIのアウトプットはますます洗練され、人間は自分しか持ち得ない「現実世界で試行した結果」というユニークな情報・知見を獲得できる。
その結果、新たなレシピ、新たなアイデア、新たな「実行可能性」を伴った知識が生み出される。
未フォーマットなタスクでの人間の強さ:
AIが現実とのインタラクションを直接する場合、標準化・定型化されたタスク(たとえば工場における組み立てラインの自動化、あるいはラボ内での決まった実験プロトコル)なら簡易的に置換可能だろう。
しかし、一度きりの特殊な状況、リスクや不確実性の高い現場対応、新しい実験やフォーマット化されていない行動領域では、しばらく人間が優位であり、そこにこそ人間の価値がある。
たとえば「都知事選に出馬してみる」とかblu3mo.icon