2026/0622 是枝裕和監督『箱の中の羊』
https://scrapbox.io/files/6a39bd7d2ba3627f4ec8c61c.png
是枝裕和監督『箱の中の羊』を観ました。
亡くなった息子・翔の面影を持つヒューマノイドと息子の両親を通じて、テクノロジーと人間の共存を描いた作品と思った。ヒューマノイドを迎え入れた二人は、翔との疑似的な再会に翻弄される。そうするうち、仲間の手でGPSを抜かれたヒューマノイドは自立しはじめる。
本作のヒューマノイドは翔のようでいて、翔を忠実には再現していない。彼が母の音々に翔の執着から離れるよう諭すあたりに、ヒューマノイドの自立が描かれていた。しかも、「彼ら」はつながりを持ち、解放された音々の幼少時代の記憶、つまり人の記憶を辿る形で、森の木々との共存に向かう。
スピルバーグが『A.I.』で描いた、母に執着するAIロボット・デイビッドとは真反対だ。これは、自我と自然に拠り所を求める文化の違いの現れだろう。
AIとの共存に通じる話だが、ヒューマノイドの純化に希望を抱く一方、森を選ぶ彼らの振る舞いに、人間が失ったものへの是枝監督の深い失望を思った。