2026/0509 ティム・ミーランツ監督『決断するとき』
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キリアン・マーフィー主演『決断するとき』を観ました。
寡黙な男ビルは石炭商として生計を立て、一家を支えている。地元の修道院に石炭を届けるのもビルの日課だ。
ある未明の朝、修道院の石炭小屋で閉じ込められた若い女性サラに出会う。彼女を助け出せば修道院に背く。ビルの懊悩がはじまる。
映画が描くビルと父親の関係は曖昧だ。地主に引き取られた幼児期のビルには父の面影がない。庭先で突然死した母に寄りそう男は、父の幻想なのだろうか。
いずれにせよ、ビルは父親の不在に囚われている。その長い失意から一人の男が父性を回復する物語・・・そう思いながら観ていた。
ところが終盤、修道院に潜む善悪の二面性が描かれる。労働搾取の現場からサラを救うビルに、父性の回復と正義が重ねられる。
だが、大人数の家族の元へ顔を輝かせてサラを連れ込む先にあるのは、家族と地域の反目だろう。その意味で、輝かしいリベラリズムの失敗を思わせる映画だった。