全体に潜む有限性
全体化は、断片群を用いて「大きな一つのこと」を表現する。そこでは、統一性が求められ、網羅性が検査される。なるべくそれに耐えうるものを表現しなければいけない。そういう気概は当然のように生じる。
問題は、全体もまた断片であることだ。それは、あらゆる表現物の一部でしかない。また、その受容者も断片を切り取り、受け取るにすぎない。断片にすべての役割は担えない。
全体化に潜む矛盾とは、それを全体として完全なものに仕上げなければならない反面、どうやっても完全にはならない、ということだ。有限的であるのだ。 初出:2017.Feb.13