自己組織化のダイナミズム
最初にメモなりプロットなりを書いておき、それを利用しながら、少しずつ全体像を作り上げていく、というやり方は、木村泉、野口悠紀雄らが説くワープロ(ないしはデジタル・エディティング・ツール)が開いた新しい手法である。
そこにあるのは、あらかじめ想定していたプロットに合致するように内容を肉付けしていくのではなく、追加される要素に合わせて全体を流動的に再構成していく方針であり、そのやり方をしても──トップダウンで作ったときと同様に──結果的には全体と断片はみごとに対応している。
※そのように全体を構成するのだから当然ではある
トップダウン式と、そのようなボトムアップ式にある違いは、ダイナミズムの有無であり、それをどの程度引き受けるかによって、使える手法は変わってくる。
ただし、ボトムアップ式では自己組織化が働いており、ときにトップに位置する要素が変質してしまう可能性もある。そうしたことが絶対に起きて欲しくないなら、トップダウンに比重を置くやり方となるだろう。