断片の管理と手間
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断片は変容する。また変容したものが、他の変容のトリガーを引く。そのダイナミズムも前提として管理しなければならないわけだが、一つ問題がある。断片それ自身では、何も変化しない、ということである。放置しておいた断片同士が勝手にくっつくことはない。書き手がそれを「目にする」ことが必要なのだ。だから、梅棹はカードをくれと述べた。言い換えれば、カード化された断片は、あくまで1つのシンボルでしかない。操作のため(あるいは想起のため)のシンボルだ。実際の断片は、書き手の頭の中にある。変容もまたその頭の中で起こる。
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二つの断片的カードの間にリンク(結びつき)が生じるのは、頭の中に対応する概念がリンクするからである。だから、別の人がその二枚のカードを見ても、リンクが生じないことは十分にありうる。 カードは触媒となり、リンクの生成を促すかもしれないが、実際のリンクは脳内の存在する。だから単にカードを組み合わせても意味はない。それを「見」なければいけない。 この点において、断片の管理は、必ず一定の手間を要求する。"すべてを自動に"、というわけにはいかない。脳を置き去りに話を進めることは無意味である。むしろ、脳内のダイナミズムに対応する形で断片を管理しなければいけない。 初出:2017.Mar.28