断片の種類
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断片化して保存するものには、いくつかの種類がある。
1つは着想・発想であり、その中にもいくつか種類があるが、後ほど検討してみる。
もう一つは、資料(Date)で、基本的に自分の脳の外部に存在している情報である。その資料が手元においておけない場合は、断片化による保存は必須であるし、おける場合であっても、後から組織化する際に役立つことがある。
読書の際の抜き書きが資料で、着想メモが着想である。
資料に関しては、原本に関するメタ情報と共に、一字一句間違えないように書き留める注意が必要である。
初出:2017.May.1
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資料は、基本的に変化がない。引用元のコピーがその役割であるからだ。資料そのものに「成長」という概念は必要ない。それ自身の扱いは静的なものでいよい。
対する想メモ(着想・発想のメモ)は、同じ性質とは言い難い。想メモは変化する。それは、肉付けされ、連合し、合体し、成長する。この点において、資料と想メモの扱いには違いが生じるし、生じなければならない。別の言い方をすれば、資料管理と同じ視点で想メモを管理していると、高い確率で、それを死蔵してしまう。
一度生成すれば固体のように扱える断片と、液体もしくは気体のように扱う必要がある断片とがあることになる。
初出:2017.Mar.2
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着想。発想のメモについてもう少し考えよう。
着想とは、突然閃くものの総称である。その中には、様々なものが含まれる。「そうだ、今から掃除しよう」も着想であるし、「これから月一回は大掃除をすること」も「こうすれば、簡単に掃除が終わる」も着想である。これは、それぞれ、タスク・方針・アイデアと呼べるだろう。アイデアに関しても、そのまま実行に移せるものと、それ自身では、小さすぎて、使い道が見えないものもある。資料と想メモの扱い方は分けた方が良いことは確認したが、想メモにおいても同様のことが言えるだろう。まず、「これは何か?」を自問し、その後、適切な場所に振り分けるようにする。
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資料は変化しない。という前提を考慮すると、バックアップについての考え方にも変化が生まれる。
資料が変化しないのであれば、それは必ずしも一つの場所だけに保管されている必要はなくなる。複数の場所に保存していても、不具合が生じにくいからだ。コピーが容易に作れるデジタルならば、三カ所以上に置いておくこともできる。たとえば、メールはGmailとEvernoteの両方においておけば、「どちらかを探せば見つかる」状態が実現できる。つまり、多重的一元管理ができるのだ。片方で変更したら、もう片方でも、ということが起きないような資料の場合、この多元的一元管理はうまい方法となる。
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資料と違って想メモは変化する。すると、多重的一元管理では、問題が生じてしまう。片方に変更を加えると、もう片方と違いが生じる。次にアクセスするときには、必ず最新の方でなければいけない。その意味で、想メモは、ピュアな一元管理が望ましい。ただし、一元管理のメインを定めつつの多重的一元管理では、新しいメリットが生まれてくるかもしれない。メインは入ってきた断片を使い、創造を進めていく一方で、もう片方では入った状態のままに保存しておく。すると、それらの断片は、思考の足跡、精神の履歴書、マインド・タイムラインとして機能してくれる。それは家族アルバムと似た感情効果をもたらしてくれるはずだ。
初出:2017.May.6