数式がないと経済学は非科学的になるのか?
「数式で表すことができないものは経済学ではない」という批判がある。
そもそも「科学的である」とはどういうことか?
他者から見て、それが正しいと言える根拠があること。
それが当人の思い込みではなく、誰もが認める(否定できない)ことであること。
例えば、法学には数式は存在していない。一方、各種の統計から推測できることが色々とある。また、法の源泉となるのは人間の価値感であることは明白である。
数式で書くことができない理由は以下がある。
人間が物の価値を決定する。その決定は人によって異なり、また時と場合によって異なる。これは人の価値感の問題であり、数式で表すことができない。(その時その時の統計は取ることができる。)
貨幣量は政策によって増減する。政府は貨幣を発行したり徴税して減らすことができる。また、金利を制御して貨幣量や利用頻度を増やしたり減らしたりすることができる。この政策はその時の経済状況やその時の価値感によって左右される。
恒等式は書くことができる。
「誰かの支出は誰かの収入」「収入から支出を差し引いた分は貯蓄」であるため、この関係を式にする事はできる。